研究課題/領域番号 |
15K06046
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
黒木 太司 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 教授 (30195581)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子デバイス / テラヘルツ・赤外材料・素子 / 発振器 / 逓倍器 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は周波数利用が錯綜している昨今、電波と光波の谷間でその利用技術の確立が急がれているテラヘルツ波電磁波帯において、これまで我々が研究してきたNRDガイドミリ波集積回路技術を用い、レーダなどのテラヘルツ波帯フロントエンドを念頭に置いた低雑音かつ実用に供し得る出力電力を有し、常温で動作する連続波高安定発振器が、大掛かりな試作プロセス(ファンドリー)によらず、一般の町工場であっても試作できる技術を提供することにあり、平成28年度は以下の成果を得た。
(1)逓倍型105GHz帯発振器:35GHz帯NRDガイドガン発振器を3逓倍し、105GHz帯発振器を実現するためには逓倍波とスプリアス波を選別するためのフィルタ回路が必要となり、そのためのミリ波帯簡易同軸-マイクロストリップ線路変換器を設計試作した。この変換器は中心導体を突出させたセミリジッドケーブルをL字型の金属マウントに格納し、中心導体はマイクロストリップ線路の中心導体端部に接続された小形ソケットに挿入される構造である。セミリジッドケーブルの外導体にはねじ切りが施されており、かつその中心導体とソケットは圧着接触させるためこの部分は着脱が容易にできる利点がある。その特性を評価した結果、所望の帯域において20dB以上のリターンロスを得ることが出来た。
(2)汎用パッケージ型ガンダイオードを用いたNRDガイド発振器: 最大直径3mm程度のパッケージに封入された市販のガンダイオード素子を平行平板間隔2mm程度のNRDガイドハウジングに実装する技術を検討した。テラヘルツ波を考慮し、工作精度50μm程度でも発振条件が確認できる構造を提案し、実験的にその性能を評価した結果、100kHzオフセットで-100dBc/Hz以下の低位相雑音性能を達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逓倍器に必要なフィルタ回路を考案できたこと、及び100kHzオフセットで-100dBc/Hz以下の低位相雑音性能を達成できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は105GHz帯発振器の温度試験などを通じてその実用性を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
同軸部品の購入を予定していたが、当該部品の利用を次年度に計画したため。
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次年度使用額の使用計画 |
同軸部品を購入する。
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