研究課題
最終年度においては,状態方程式を利用して,確率的IIR(Infinite Impulse Response)ディジタルフィルタに対して演算精度の高い構造を求める方法論を確立した.ただし,確率的演算に基づく演算精度の数学的な解析とその最大化については,まだ十分ではなく,それゆえに今後さらに演算誤差に関する評価関数の構築やその最小化に関して検討していく必要がある.また,これまでの研究によって確立された理論を用いた次世代ディジタルフィルタを専用ハードウェアに実装し,その性能を評価した.その結果,現在用いられている決定論的演算に基づく手法と比べて実装コストを大きく削減できたとともに,従来提案されている次世代ディジタルフィルタの合成法と比較して40dBの特性改善を達成できた.研究期間全体を通して,本研究では,確率的演算を用いた次世代ディジタルフィルタに対し特性劣化の低減を実現し性能を向上させるための統一的な理論を確立することに成功し,その有効性をシミュレーションおよびハードウェア実装によって実証した.従来は,次世代ディジタルフィルタにおいて生じる特性劣化を低減するためには試行錯誤による実験の繰り返しに頼らざるを得なかったが,本研究にて得られた成果により,統一的な方法論に基づいて簡単に特性劣化を低減できるフィルタ構造を与えることが可能となった.ゆえに本研究成果は,次世代ディジタルフィルタを軸とした今後のさまざまな信号処理デバイスの性能を飛躍的に向上できるものと期待される.
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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