研究課題/領域番号 |
15K06050
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
千葉 明人 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30435789)
|
研究分担者 |
呂 国偉 東海大学, 創造科学技術研究機構, 准教授 (30599709)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 光変復調 / 多値光変復調 / 偏光マニピュレーション / 偏光保持 / サニャック干渉計 / 外部終端 |
研究実績の概要 |
本研究では、変調を施した光波に残留するキャリアを抑圧する手法を提案している。これは、光の高速変調にあたって不可欠となる進行波型電極構造の特長を利用するもので、研究代表者が独自に見出した光学系により実現可能となる。本年度は、提案する光学系のプロトタイプおよびそのモデルを構築して、アナログ光変調における定量的な評価を進め、最適動作条件の検討を実験・理論の両面から試みた。アナログ光変調を対象としたのは、そのスペクトルが離散的なものとなり、残留キャリアと所望の成分との区別が容易に可能となる点に因る。まずモデル解析により、無変調のままとする光波に対して、変調がかかる光波の強度比を2.6以上とするように入力光の偏光を調整すると、変調度が2.3-2.95の範囲に於いて所望の変調成分の振幅を大きくとれ、相応のキャリア抑圧も得られることを確認した。この結果を踏まえて、実験的検討を進めた。研究代表者が保有する外部共振器型半導体レーザを光源として用い、残留キャリアの抑圧比を、主に光周波数領域に於いて評価した。その結果、提案手法により、変調された光波に含まれるキャリアを20dB以上抑圧できる事を実験により裏付け、所望の変調成分に対して-25dB以下に抑えることに成功した。これらの検討を経て、提案手法の改良により、低次のサイドバンドも抑圧できる着想も派生的に見出し、その検討も進めた。その結果、その着想をも実験的に実証するとともに、不要波長成分の抑圧の安定化などの長所を示すことにも成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
年度当初に掲げた研究実施計画をほぼ予定通り遂行した事に加え、その発展として、本手法が搬送波の抑圧に限定されない事や、光波を変調する高周波信号の位相制御に基づく動作の安定化など、当初の想定を超えた着想を見出すとともに、その実証にも成功した。得られた成果は、当該分野に於いて著名な論文誌の巻頭記事としても取り上げられる程の注目を集め、その学術的新規性や特長・技術的優位性を裏付けている。以上を鑑みて、標記の区分が最も妥当である。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、平成27年度に構築した光学系の更なる安定動作を確保すべく、光学系のドリフトを補償するフィードバック系等の構成を検討する。また構築した光学系を用いて、二値位相変調(BPSK)光信号などのデジタル光変調信号に対する検討を進める。提案手法の効果の検討を実験・理論(モデル解析)の両面から進め、原理実証の足掛かりとする。これらの結果を踏まえ、より多値度の高い光信号に対する検討の準備にも取り掛かる。その足掛かりとして、BPSK光信号の遅延干渉等によるテスト信号の生成等も検討する。そして生成したテスト信号を用いて、デジタル光変調信号に対する提案手法の検討も進め、多値光変調信号に対する本手法の効果の検討を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、平成27年度に当初の想定を超えた成果を獲得することに成功した。その成果を平成28年度以降に発表する事を見越して、平成27年度の執行額を抑えた。具体的には、先だって得た成果をまとめた論文の投稿先を、投稿料が課されないものとした。オープンアクセスではないものの、光学分野に於いて著名なもので、その論文誌への採択は、研究成果のクオリティを裏付けるものでもある。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に海外で開催される国際会議の渡航費に充てる予定である。
|