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本研究は生体(人体)の内部での電磁波の伝搬について研究を行うものであり、これまでほとんど活用されていなかった生体内部における電磁波を利用した医療・ヘルスケア向けのアプリケーション開発へとつなげることを目的とした。このため、研究期間を通じて、今後の高齢化社会で重要となるヘルスケア向けのアプリケーション、特にメタボリックシンドロームの予防のための検査手法である腹部脂肪量推定をマイクロ波を利用して行うことを目標として研究をすすめた。現在、毎年の健康診断において腹囲を測ることによりメタボリックシンドロームを診断することは広く行われているが、腹囲のみを測るため、高い精度が得られない。そこで、簡易かつ精度の高い腹部脂肪推定方法として、マイクロ波を用いた腹部脂肪量推定方法を提案し、実用化に向けた検討を行った。最終年度は、特に人体に近いシミュレーションモデル(数値人体モデル)と、実際の導波管やアンテナの構造を用いた測定法の数値シミュレーションを行い、提案手法による腹部脂肪測定の適用可能性について検討した結果、複数の周波数を使用する方法により、腹部脂肪厚についての推定が可能という結果を得た。また、腹部脂肪の推定においては、多種多様な形状や構造をもつ実際の人体においての適用を考慮し、大量のデータをモデル化することが可能である機械学習の手法により推定モデル作成を行った。その結果、ニューラルネットワークを利用して、マイクロ波の反射、透過強度を入力することにより、腹部脂肪厚の推定モデルを作成することに成功した。これらの成果は、今後、マイクロ波を用いて人体内部を計測する手法を開発するための基礎的な検討として有効であるとともに、実際の人体腹部の測定へ向けた知見として有効と考えられる。
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