研究課題/領域番号 |
15K06056
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
來住 直人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10195224)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光通信システム / 光ノード機能 / 光信号処理 / 光信号再生 / 光信号可変遅延 |
研究実績の概要 |
本計画においては、異なる変調フォーマットの信号が混在する光ファイバ通信システムにおいて変調フォーマットに依存せず動作する、光信号波形再生機能を始めとする光信号処理機能の実現が目的である。 本年度は、強度変調もしくは位相変調信号に対する多重方式変換や信号の時間タイミング調整機能に対する検討を中心として、以下のような成果を得た。 まず、光ファイバの非線形現象によるスペクトル広がりを利用した、波長多重信号から時分割多重信号への強度変調方式に対する信号形式変換を、信号品質が劣化した波長多重信号に対して適用を試みた。劣化した信号は汎用単一モード光ファイバによる信号伝送により生成し、伝送の有無による信号品質の評価を行った。ビットレート10 Gb/s の二波長からなる劣化した波長多重信号に対しては、片方のチャンネルに関しては信号品質の評価が不可能な程度に品質が劣化していることが判明した。なお、波長多重信号から時分割多重信号への信号形式変換については、位相変調信号についても検討を行っている。 次に、信号の時間タイミングを低歪みで可変調整できる、光フーリエ変換を利用した光ファイバ遅延線を構成する際の位相変調を、光ファイバにおける相互位相変調により実現する手法を提案し、これを実現するための実験系を構成し、特性を評価した。ビットレート10 Gb/s の強度変調もしくは位相変調形式の光信号に対して、波長変換を組合せたフーリエ変換を行うことで信号の時間遅延の可変を試み、波長変換の際の波長を20 nm 可変することによって、時価遅延量を最大3 ns まで可変出来ることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実用的観点から重要である、劣化した信号に対する変換機能についての検討を行う必要が生じた。そのため、主目的である混合フォーマットに対する処理機能については、一時的に中断せざるを得なくなったので、上記のように評価した。信号形式変換と光ファイバ可変時間遅延線については概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果及び進捗状況を踏まえ、種々の信号処理機能についてのより深い検討を進めていく。具体的には、多重方式変換における波形再生機能や、可変時間遅延線における波形再生機能、劣化した信号に対する変換機能、混合フォーマットに対する信号処理機能等の課題についての、より詳細な評価を行う。得られた研究成果は、適宜学会口頭発表や国際会議発表、学術論文誌への投稿を行うことにより、公開に努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に破損・消耗を見込んでいた光学部品など消耗品が予想よりも良好な特性を保持しており、これらの交換に見込んでいた経費が節約出来たため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額に関しては、次年度に行う実験系の構成や、破損・消耗に際して交換が必要となる光学部品の購入のための資金の一部とする。
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