動画取得時間の短縮,サービスコストの低減を目指し,キャッシュ型動画配信に着目し,本動画配信におけるキャッシュ動画管理方式の複数品質への対応と動画人気集中時の効率低下抑制について検討した.階層データ構造を利用した動画管理用品質依存ルールの設計では,蓄積効率低下抑制を考慮して,階層構造データを利用し,その効率化のために,高品質利用時に低品質データを必須とするデータ品質依存ルールの設計した.また,これまで理論的な動画利用アクセスモデルに加えて,実際のモデルへの対応を考慮し,1日変動モデルを新しく考案した.実モデルにおける利用変動時の効率抑制方法として,新しく参照区間からアクセス数推定を行う手法について提案し,その有効性検証を行った. 次に,動画像管理用品質依存ルールを用いて,新しく優先度価値の変動に対応する方法として,線形推定法に加えて,2次関数近似推定法,及び指数関数近似推定法を提案し,その有効性について,シミュレーション実験により,評価した.その結果,従来の線形推定と比較して,効率低下抑制効果があることが確認され,本提案方法の有効性が明らかになった. 本年度では,時間的なアクセス数の増減,映像の更新や人気変動などの実用的な変動モデルにおいて,優先度推定誤差が発生する場合があり,キャッシュ効率低下の課題に対して,実用的な時間変動モデルを定義し,優先度推定誤差を抑制する適応的優先度推定法を用いた映像管理法を提案した.推定誤差の発生状況について考察し,変動状態に対応した適応的優先度推定法を示した.本研究では,線形近似関数,2次近似関数,指数近似関数の3種類を用意し,推定値の増減状態により,優先度推定誤差によるキャッシュ効率低下を抑制する適応的手法を提案した.評価実験により,各近似関数を独立に扱う従来手法に対して,提案法がキャッシュ効率の低下を更に抑制できることを明らかにした.
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