本研究の目的は,OFDMベースのDynamic Spectrum Access型コグニティブ無線において,二次利用者の送信信号の隣接帯域(二次利用者が使用する帯域の左右に隣接する帯域),および峡間帯域(既存利用者が使用する二次利用者に挟まれた帯域)への漏洩電力を同時に抑圧する新しい手法について検討することである. 本年度はOrthogonal Precoding (OP)の計算量をさらに削減する手法を考案した.従来のOP法は全サブキャリアを用いて帯域外電力を抑圧するため,サブキャリア数に比例する計算量が必要であった.本年度に提案した手法では帯域外漏洩電力抑圧に使用するサブキャリアを減らすことで計算量を削減することが可能となった.数値実験により性能を維持したまま計算量が削減できることを確認した.またOP法と窓関数法のハイブリッド法を提案し,隣接帯域だけでなくより広い帯域での漏洩電力の抑圧性能を改善した.加えて本年度はN-continuous Symbol Padding (NCSP)のPAPR抑圧法を考案した.4G LTEで広く用いられるDFT-s-OFDMとNCSP-OFDMとのハイブリッド法を提案し,数値実験により性能改善を確かめると共に,SDR(Software Defined Radio)ボードによる実装実験を行った. 以上の研究結果を元に1本の論文を投稿し受理され,2件の国内研究発表会で発表した.また2本の論文を投稿準備中である.
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