研究実績の概要 |
本年度に得られた3つの研究成果を簡潔に述べる。(a) L2 空間射影に基づく非線形適応アルゴリズムを構築した。従来のカーネル適応フィルタでは、基底ベクトルで張られる空間における未知非線形関数の最良近似が最小平均二乗解に一致しないという不整合性が生じていた。L2 空間ではこの不整合性が解消される。L2空間の計量を効率的に算出する手法も提案し、有効性を複数の数値実験で実証した。この成果は 2017年8・9月に開催された国際会議 European Signal Processing Conference 2017 で発表した(ジャーナルにも投稿中である)。(b) 非線形ビームフォーマ法に応用し、少数のアンテナで多数の干渉信号を効果的に抑圧できることを実証した。これはFraunhofer HHI 研究所(ドイツ)との共同研究成果である。本成果は、2018年5月に開催予定の国際会議IEEE International Conference on Communications 2018 で発表予定である。(c) 分散型信号処理に拡張し、センサーネットワークに応用した。また、ハイブリッド型辞書アプローチ(大域的な辞書と局所的な辞書を用いる手法)も提案し、シミュレーションで有効性を実証した。これらはブレーメン大学(ドイツ)との共同研究成果である。これらの成果は、二つの国際会議IEEE International Workshop on Signal Processing Advances in Wireless Communications (SPAWC 2017), IEEE International Conference on Acoustic, Speech, and Signal Processing (ICASSP 2018) で発表し、ジャーナルに投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーション用計算機とノートパソコンは、前年度使用していたものが使用可能な状態であったため、新規の購入は見送った。参加予定だったNIPS2017は、人数制限によって参加できなくなった。Asilomar conference で発表予定だった論文をICASSP 2018(4月)で発表することになった。以上の理由により、次年度使用額が生じた。 使用計画:【1, 設備備品費】シミュレーション用計算機(dell)460,000円、【2,消耗品】書籍代80,000円、【3. 旅費】ICASSP 旅費(申請者+学生1名)600,000円、EUSIPCO 旅費(申請者+学生1名)600,000円、【4. その他】ICASSP 参加費(申請者+学生1名)150,000円、EUSIPCO 参加費(申請者+学生1名)100,000円、【合計】1,990,000円
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