(1) アンテナシステムへの適用 無線LANに用いられる2GHz帯,5GHz帯のアンテナについて検討した.5GHz帯の帯域が広いために共用化が困難であることがわかったため,個別のアンテナでの実現性について検討した.2GHz帯については通常のMACKEYで実現できることを,周波数帯域の広い5GHz帯についてはMACKEY-O型で実現できることを,解析および試作により確認した.また,これら2つのアンテナを並列配置する構成について検討し,3mm程度の隙間を設けることにより,相互結合による性能劣化を低減できることを明らかにした.上記の並行配置では,2GHz帯,5GHz帯それぞれで2枚のグリッド板を必要とするためにサイズが大きくなる.これを改善するため,1枚のグリッド板を2GHz帯,5GHz帯で共通で使用することにより計3枚のグリッド板で同等の性能を実現するMACKEY-T型を考案した.その結果,2GHz帯MACKEYと同じサイズで2つの周波数帯をカバーできることを,解析と試作モデル測定により,確認した. (2) さらなる小型化の検討 MACKEYは原理的には半波長の長さで共振するため,誘電体の誘電率を高くすることによって小型化はできるが,限度がある.そこで,MACKEYをベースとしてさらなる小型化を図った新型MACKEYを考案した.新型MACKEYは,マイクロストリップアンテナに対するショートパッチと同様,左右対称構造であるMACKEYの対称面に短絡板を設けることにより,MACKEYのサイズを約半分にしたものである.新型MACKEYには,短絡板の配置を変えた3種類があるが,シミュレーションにより,40~60%のサイズで実現できることを確認している.ただし,周波数帯域は狭くなり,その広帯域化が課題である.なお,新型MACKEYは特許出願済みである.
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