本年度は、アクチュエータとアンテナの種々の構成についてコンピュータシミュレーションによってRFアンテナ特性および機械振動特性についての評価を行った。 1)機械特性では、アンテナの重量増加によってアクチュエータが下方向に変形し、アクチュエータが動作しなくなることが起こった。アクチュエータの下方向のばね定数を増大させることで対処することにしたが、全体構成を考慮してばねの数を増加させるのが適していることがわかった。さらに、昨年度までアクチュエータの回転ばねを支持枠の内部に設けた構造を採用していたが、今回、RFアンテナアレイの電磁界分布を妨害しないように、この機械構造ばねをアンテナ支持枠の外側に作製した構造の検討を行った。これにより、デバイス全体の寸法が増大するという問題が発生したが、RF設計が簡略化されるという利点があるために大変魅力的な構造であると考えられる。今期は、このような長所短所を一つずつ検討しながらアンテナ全体の設計を進めた。 2)アンテナのRF特性については、アンテナをシリコンで作成したときに、シリコンの導電率を変化させた場合のRF特性変化を計算した。当然のことながらアンテナ特性は材料の導電率に大きく依存しているが、アンテナの形状を変化させることにより抵抗分布を最適化できるのではないかと期待した。いろいろとトライ&エラーを繰り返して、ひとまずの設計データを得ることができたが、さらに最適化することが必要であると考えられる。なお、アンテナをシリコンから形成することはアンテナ全体の作製方法を著しく簡略するのに役立つものである。
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