研究課題/領域番号 |
15K06095
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
森下 久 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 教授 (20535356)
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研究分担者 |
道下 尚文 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30535357)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンテナ / ウェアラブルアンテナ / 折り返しダイポールアンテナ / 比吸収率 |
研究実績の概要 |
現在の防災用移動無線機は,トランシーバタイプであり,150MHz帯等の周波数を使用しているためアンテナが大きくなり,救難等の活動に大きな制約が生じている.そこで,防災用移動無線機を活動に支障がなく安定した通信が行える防災用ヘルメット上に設置した構成を提案する.使用周波数帯が非常に低いため,防災用ヘルメットの限られたスペースにアンテナを取り付けることは良いではない.また,ヘルメットアンテナは人体頭部に近接するため,人体による影響を考慮することも重要である.そこで,救難活動等で使用される防災用無線機と防災用ヘルメットを一体化するために,人体頭部に近接した折り返しダイポールアンテナのSAR抑制と放射利得向上を目的とする. はじめに,ヘルメット形状に沿った折り返しダイポールアンテナ(FDA)を150MHz帯で動作するように,電磁界解析により設計した.具体的には,低周波化のためにクランクを装荷し,その形状を最適化した.実験を行い解析結果の妥当性を確認している. 次に,人体頭部及び半球殻導体の影響を検討した.ヘルメットを模擬した半球殻状誘電体と,人体頭部の間に半球殻導体を装荷することで,人体方向への不要放射を低減できることを確認した.低インピーダンス化することが課題となったが,インピーダンスをステップアップすることで調整した.さらに,アンテナの装荷位置とSAR値の関係を明らかにした. 最後に,SAR抑制のために,導体リングにL字形のスリットを入れた形状を提案した.非常に簡易な構成でありながら,人体頭部のSARを低減できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画に従い,折り返しダイポールアンテナの低周波数化の手法について詳細に検討した結果,半球状およびヘルメットを構成する材料の誘電率による波長短縮効果を明らかにした.また,2周波対応のアンテナ構造への展開を計画していたが,人体方向への放射抑制も同時に考慮したヘルメットアンテナの設計を優先して検討した結果,導体リングにL字形のスリットを入れた形状が,非常に簡易な構成でありながら,人体頭部のSARを低減できることがわかった.また,アンテナ設計に要する計算時間の短縮法について,計画通り検討した結果,有限要素法による設計法を採用することにより大幅に時間短縮を達成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,ヘルメットアンテナから人体頭部方向への放射を抑制する手法について検討する.先行して,簡易な構成であるL字スリット装荷導体リングを提案したが,アンテナの動作帯域を維持しながら,さらなる利得向上が求められるため,アンテナと人体との間に設置した反射板をメタ表面に基づく人工磁気導体に置き換えることを検討する.低周波数帯においてヘルメットサイズは非常に小さいため,単位格子サイズの小形化が課題となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,設計した半球殻状折り返しダイポールアンテナの試作,および低周波数帯アンテナの放射パターン測定のための測定系構築のために物品費としての仕様を計画していたが,人体方向への放射抑制法を先行して考案することができ,電磁界解析による設計を優先したため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
低周波数帯メタ表面を設計し,半球殻状折り返しダイポールアンテナと一体化したヘルメットアンテナを試作するための消耗品を購入するために使用する.
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