研究実績の概要 |
地震断層運動に伴い磁気変化信号が観測されることが、本研究代表者らが国内外で初めて明らかにしている。しかし、観測例は、その重要性にもかかわらずこれまで数例にとどまっており、この現象を詳細に明らかにするためには観測例を大幅に増やすことが求められている。このため、平成29年度も福島県いわき市遠野町で地磁気観測を継続した。 これまで本研究代表者らが明らかにしてきたもっとも重要な点は、地震断層運動に伴う磁気変化は非常に微小であることである。例えば、マグニチュード5クラスの地震が観測点から20km程度の距離で発生したとすると、それによる磁気変化量は数10ピコテスラと極微小であり、通常地磁気観測に使用されるフラックスゲート磁力計では到底観測できない。また、発生する磁場にはそれぞれ向きがあるため、磁場3成分観測が非常に重要である。そこで、本研究代表者らは高温超電導SQUID素子を用いた地磁気観測用の高感度な磁力計システムを開発し、平成24年3月から現在まで観測を継続してきた。 これまでの観測結果からSQUID磁力計の測定解像度を検討した。計測信号処理の手法として、Mean Shiftを用いたSQUID地磁気計測計の雑音低減法の検討をさらに進めた。SQUID磁力計を野外で使用する場合のノウハウを蓄積しつつあり、今後さらに継続的に観測を続けることで, 地震前駆現象としての地場変化の発見につながるものと考える。
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