研究課題
本研究では、生体磁気計測を目指して、光ポンピング原子磁気センサを用いた多点同時・広域計測法を開発することを目的としている。多点同時計測法として昨年度までにMRI的手法およびCT的手法についての検討を進めた。本年度は、それぞれの手法についてさらなる検討を行った。MRI的手法ではポンプ光を電気光学素子により強度変調することにより約160 fT/√Hzの計測感度を実現することができた。さらに本センサを心磁計測に適用し、複数点で同時に心磁信号を取得することに成功した。今後計測点の増加や計測感度の向上を目指すには、スピン偏極生成レートと緩和レートの改善が必要であると考えられる。これに関して、理論式を用いて数値計算を行い、変調周波数が高いほど、より高いスピン偏極生成・緩和レートが必要になることを定量的に示した。このことは計測点数の上限が、計測対象の周波数とセンサのスピン偏極生成・緩和レートによって決まることを意味する。CT的手法に関して、計測点を増やすためにプローブ光の検出器を改良し、10点同時に信号を取得可能にした。これまで用いていたフォトダイオードアレイから小型のフォトダイオードを用いたポラリメータ型の検出器に変更し、10-20 fT/√Hzの検出感度を実現することができた。また、このセンサではヒトMEG計測で視覚野における事象関連脱同期を観測することができた。CT的な手法については、計測する軸数が増えれば増えるほどより正確な磁場分布の計測が可能となるが、現状1度に計測できるのはポンプおよびプローブ光の2軸のみであり、軸数を増やすためには逐次計測が必要となる。そのため誘発反応のような規則的な磁場の変動を計測するのには向いているが、自発脳磁場の計測等には向かない。よって、計測対象の性質により多点計測の手法を使い分けることが重要である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 備考 (2件)
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