研究課題/領域番号 |
15K06109
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
横田 正幸 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (80323335)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ディジタルホログラフィ / 乾燥・硬化過程の解析 |
研究実績の概要 |
1回のホログラム記録による軸外し多重記録型の形状・変位計測用の光学システムを構築した。現状では,マイケルソン型光学系を採用し,波長差0.2nm程度の二波長により生成されるホログラム記録を実現し,データ取り込み間隔0.2秒での測定が可能になった。光源については,入手可能な光学素子や現有装置の使用を鑑みて一つは780nm帯の半導体レーザーとし,これに近い発振波長を得るために,波長選択制の自由度も検討した結果もう一つの光源は外部共振器型の半導体レーザーとし,発振波長の差を可変する機構とした。 また,直交直線偏光として光源の光路を分離するため,今回の実験系ではバルク光学系を採用し,光ファイバーの導入は後回しにすることとした。また,使用するCCDからのデータ取得及びホログラムデータの解析ソフトを,それぞれC言語とMatlab言語を用いて作成した。これにより,ホログラム取得から解析までが可能になった。 上記の二波長を光源とし,偏光方位を直交するように配置してマイケルソン型干渉計による光学系の構築とマッハツェンダー型の光学系の構築を行い,双方においてホログラム記録まで実施した。その結果,光学素子の開口系によりビームサイズに制限があるマッハツェンダー型ではなく,比較的大きいビームサイズが実現できるマイケルソン型の光学系を採用し,これをもとに今後実験を行う方針とした。 今年度は,CCDカメラからの画像取得ソフト作成と取得したホログラムの解析ソフトの作成まで実行できたので,以後は上記光学系を中心として市販塗料を使い,反射型の配置において塗膜乾燥の評価実験を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況としては,予定に近い進捗であるが,全体的には計画よりも少し遅れている。理由としては,二波長を得るために光源の選択に時間がかかったこと,また,マイケルソン型とマッハツェンダー型の二つの光学系を構築し,それぞれの適性などを吟味したため,これに時間を要したことによるものである。然し、基本的な光学系構築,データ取得及び解析プログラムの開発は順調に進んでおり,あとは基本光学系を用いて実験を遂行し,研究を進めるだけであるので,この遅れは軽微であり,期間全体における研究の進捗には大きな影響はないと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,二波長同時記録の基礎実験系(マイケルソン型光学系)を用いて,塗膜の変位、形状を測定する実験を進める。また,精密はかりを導入し,重量変化との比較から,溶剤揮発推定を検討する。また,信号処理としては,逐次記録ホログラムの位相変化からフーリエ変換面におけるフィルタ処理による外乱の影響除去法の検討,この信号処理をGPUにより行うソフト開発を中心に進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた学会発表数に及ばず,主に旅費が余ってしまったため,次年度に繰り越しが生じた。次年度は国際会議発表も含めて予定通り執行する予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
H28年度は国際会議発表を予定しており,また国内学会も参加予定があるので,予定通り施行する予定である。また,物品費等についてはおおむね予定通りの執行を考えている。
|