研究課題/領域番号 |
15K06111
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 道彦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (00447856)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNA検出 / 誘電泳動 / ウイルス検査 / Multiplex PCR / インピーダンス / 微粒子 |
研究実績の概要 |
迅速なウイルス検査を実現するために、核酸増幅検査におけるDNA検出を迅速・簡便化する手法の開発を目的に、独自に開発したDNA結合に伴う微粒子誘電泳動の変化を利用したDNA検出法を改良する。特に多種類のウイルスを同時に検出するための手法について検討する。 平成27年度は以下の研究を行った。 (1)多種類同時検出のため、Multiplex PCR(polymerase chain reaction)で増幅されたDNAの検出を達成することを目的に、異なるサイズのDNAが結合した微粒子を選択的に検出する手法を考案した。それは印加電圧の周波数によってDNA結合微粒子を結合DNAのサイズごとに微細電極に捕集する手法である。この手法の実現可能性を評価するために、DNA結合微粒子のDNAサイズに依存した誘電泳動特性を測定した。その結果、誘電泳動のクロスオーバー周波数及びゼータ電位はDNAサイズに依存して変化することがわかり、誘電泳動のクロスオーバー周波数とゼータ電位の関係から、DNA分子の電荷だけではなく誘電率がDNA結合微粒子の誘電泳動に影響していることが示唆された。 (2)これまでのDNA結合に伴う微粒子誘電泳動の変化を利用したDNA検出法では、結合しているDNAのサイズを知ることができず、その点で汎用的なDNA検出法であるゲル電気泳動法に劣っていた。そこで、結合DNAのサイズを同定する方法として、DNA結合微粒子のインピーダンス特性を計測することを考えた。結合微粒子のインピーダンス特性についても調査したところ、結合DNAサイズに依存したインピーダンス特性が測定され、これを利用したDNAサイズの同定の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進める上で、研究目的を次のように二つに設定した。 テーマ1:微粒子誘電泳動の周波数依存性を利用した結合DNAのサイズによる複数種類同時検出 テーマ2:インピーダンス周波数特性を計測することによる結合DNAのサイズ検出 本年度はそれぞれのテーマで設定していた計画に対して概ね計画通りに進捗しており、テーマ1に関しては既に論文発表を行い、テーマ2は現在論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところ、当初の計画した通りの結果が得られているため、申請書記載の計画に沿って今後の研究を進める。 具体的には、テーマ1、2に関して微細電極の形状や印加電圧の周波数・波形などの最適化を行い、研究目的である多種類のウイルスを同時に検出するためのMultiplex PCRに対応したDNA結合に伴う微粒子誘電泳動の変化を利用したDNA検出法の改良を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験において、試薬の節約、計測回路作成用電子回路部品の節約を行ったため。特に電子回路部品に関しては、できるだけ安価なものを使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の進展により、様々な形状の微細電極を作成する必要があり、その部分で当初予定よりもの次年度の使用額が大きくなる予定である。
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