研究課題
前年度に試作した,単層 Maltese-Cross Slot アレイ(MCSA)型周波数選択板(FSS)について,入射角45度における複素反射係数と複素透過係数を400 GHz~750 GHzのサブミリ波帯でベクトルネットワークアナライザにより測定した.反射・透過係数の測定結果をモーメント法による数値計算と比較した結果,実測値は計算値と非常によく一致していることが確認でき,モーメント法による設計およびそれに基づくFSSの試作が十分な精度でなされていることが確認できた.さらに,本設計によるMCSA型FSSを2層スタックにした場合の反射・透過特性をモーメント法により計算した結果,2層化により 500 GHz~600 GHzの120 GHzの帯域でほぼフラットな透過特性を直交両偏波に対して実現できることを確認した.以上の結果をまとめると,JCSA型のFSSは2層化により透過帯域幅 (@-1dB) は約60 GHzになるのに対し,MCSA型の場合は2層化により約120 GHzとなることから,MCSA型の方がJCSA型に比べて約2倍の広帯域が直交両偏波で実現できることが明らかとなった.このようなサブミリ波帯の広帯域な直交偏波共用 FSS は惑星探査機搭載用サブミリ波分光放射計のみならず,ミリ波・サブミリ波帯大型電波望遠鏡での多周波数帯同時観測の準光学的周波数分波器としての利用が期待されており,国立天文台野辺山電波観測所の45m電波望遠鏡に同様の直交偏波共用FSSの利用に向けての検討を進めている.
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すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)