研究課題/領域番号 |
15K06117
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
肖 業貴 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (50252325)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 適応周波数分析 / 可変ステップサイズ / LMSアルゴリズム / 変分法 / 関数の最適化 / 自乗誤差 |
研究実績の概要 |
平成27年度では以下の研究を実施した。 ① 従来型の可変ステップサイズ(VSS: variable step-size)を有するLMSアルゴリズムを適応周波数分析問題に適応し、その有効性をシミュレーションにより詳しく検証した。多くの知見を得た。 ②従来型VSS-LMSアルゴリズムを簡素化し、計算量が少なく、同程度かやや劣る程度の性能を有する簡素型VSS-LMSアルゴリズムを提案して、その詳細な性能解析を行った。成果の一部はSignal Processingという名声のある国際ジャーナルに投稿し掲載された。狭帯域能動騒音制御システムにも応用している。 ③VSSのステップサイズ更新式に対して、解析誤差に対する一般関数を導入し、その最適な関数系を変分法により求めた。その関数の最適化を可能にするために、多くの近似を導入した。その結果、試行錯誤により最終的には一般関数系を求めることに成功した。シミュレーションにより、その有効性の一端を確認できた。成果の発表はこれからである。 ④開発した最適なVSS-LMSアルゴリズムの実用性を検証するため、機械の振動計測実験システムを構築した。今後の研究においてはそれにより計測した振動データを用いることにより研究開発の実用性を高める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①予定した振動計測システムを構築した。特注により、回転機械による振動の計測が可能となった。整備が十分ではないが、研究協力者の助けを得て実験が可能となったし、振動データの測定も行った。 ②簡素型VSS-LMSアルゴリズムを提案し、その有効性を検証するとともに、詳細な性能解析を行った。次の関数最適化に弾みをつけたことができた。 ③理論面では、VSSに導入した非線形関数の最適化を行った。変分法を用いて、試行錯誤をへて最適な関数系の枠組みを得た。 ④成果の一部は国際会議やジャーナルに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
①理論解析を継続し、関数の最適化の更なる検証を行う。 ②得られた最適誤差関数の有用性を、測定装置で測定した振動データに応用し、その有用性を確認していく。 ③最適誤差関数を用いたVSS-LMSの性能解析を展開し、既存アルゴリズムとの比較を行う。 ④広島近辺の関連企業とのジョイントアドベンチャー(研究開発、実用化)の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算ほぼ全額執行した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度配分額に加えて執行する。
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