歩行中の筋の粘弾性を推定するための計測・解析システムを構築した.トレッドミルを歩行しているときに,脛とふくらはぎの筋に電気刺激を与えて,皮膚表面の振動(筋音)を計測した.この信号から歩行による振動と,随意筋音を取り除いて,誘発筋音のみを抽出した.電気刺激を入力とし,誘発筋音を出力とするシステムを仮定し,システム同定法を適用して,伝達関数を求めた.伝達関数から,筋のスティフネス(弾性)と粘性を推定した.その結果,脛の筋のスティフネスは,踵接地時にもっとも大きく,遊脚期に小さいことを明らかにした.また,ふくらはぎの筋のスティフネスは,歩行速度に対して線形に増加することを明らかにした.
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