ヒゲ刺激によるバレル皮質の賦活化を確実かつ効率的に行うため、3Hzの連続電動反屈をマイコンにより制御した。ラット血圧を測定するため、大腿動脈のカニュレーション法によりアナログ電圧を装置内に取り込んだ。光学的なS/N比向上のため、ファイバー径を拡幅して2.0mmφに変更し、熱収縮チューブで被覆したケーブル(外径2.5mmφ)を作製して、送受光センサーに実装した。放射束は、当初の約4倍となった。オプトード分離距離は、2.5-10.0mmで外径2.5mmφの光ファイバーケーブル5本を互いに接触させ1列に並べて4チャンネルとした。頭蓋窓や脳賦活領域上の頭皮でファイバー接触面を微調整しながら、ケーブルを任意の角度で固定できるアタッチメントを作製した。4チャンネル化に伴い、頭蓋窓を頭蓋骨ブレグマ右吻側5mm外側4.5mmから尾側7.5mm外側6mmに沿って幅約3mmの長方形に拡張した。生のHbR波形の拍動成分では周期性が明確でないため、リアルタイムでApp-SpO2値を評価することが困難であった。そこで、HbOとHbR波形をバンドパスフィルターにかけ、オフセットを0に設定した拍動成分のみを抽出した。低域と高域のカットオフ周波数は、血圧の振幅スペクトルを求め、そのピーク周波数(ラット心拍数)や周波数帯域幅に基づき決定した。抽出された拍動成分は、ヒゲ刺激プロセス60秒毎に、振幅の絶対値の総和として算出し、App-SpO2値を評価した。その結果、頭皮除去モデルの安静60秒のApp-SpO2値は、約60-70%であった。ヒゲ刺激60秒では、安静に比べ約3%増加する傾向が認められた。また、頭皮剃毛モデルでは、ヒゲ刺激プロセスで変化がなく、65%程度であった。更に独立成分分析により頭皮血流の影響を除去後の安静では53%とやや低値を示したが、ヒゲ刺激では安静に比べ約2%増加する傾向が認められた。
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