研究課題/領域番号 |
15K06121
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊丹 誠 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 教授 (70212983)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | ITS / USB / 歩車間通信 / 路車間通信 / 高精度測位 / 安全運転支援 |
研究実績の概要 |
平成28年度は平成27年度に提案・検討をを行った方式に基づき,その特性評価および性能向上のための研究を行った.第一に,マルチパス環境下での測位精度の向上のために,測距アルゴリズムの改良を行なった.従来方式では相関値のピークの最大値に基づく検出を行っていたが,閾値ベースの検出を併用することで,最初に到達する相関ピークをより確実に捕らえることで測距精度が向上でき,その結果測位性能も向上することが可能であることが確認された.さらに,改善した測位方式を用いて,交差点周辺に多数の歩行者が存在する場合の,歩行者の追跡性能の評価を行った.評価の結果平成27年度の方式と比較して,測位誤差を小さくすることが可能になり,歩行者の追跡性能を向上できることが示された.また,提案方式における歩行者数に対する追跡性能の評価を行った.周辺の歩行者数が増えるとUWB信号の衝突の可能性が増大し,測位精度の低下が懸念されるが,本検討の結果,歩行者の想定される移動速度の範囲において,100人以上の歩行者が周辺で信号の送信を定期的に行った場合においても,歩行者の追跡が可能であることが確認された.しかしながら,まれに大きな誤差が生じる場合も確認された.これは安全支援上問題となる可能性があり,このような不適切な測位データを適切に除外,あるいはこれらが生じる確率を減らす必要があることを認識した.現在,システムとしてのデーター処理と物理層での測位精度の向上の両者を引き続き検討を行っており,システム全体での最適化を目指している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状までに歩行者の多数存在する環境下での基本的な測位方式を検討し有効性が確認されている.現状のモデルは比較的単純なモデルであるため,今後はより現実的なモデルを導入し,システムとしての評価を進め,有効性を示していく.
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,平成28年度の研究によって実現された測位性能をさらに向上し,より現実的なモデルを用いた環境での評価を行っていく.また,システムとしての評価もあわせて行い,提案方式が歩行者の安全支援のために有効であることを検証する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
拡張シミュレータ関連の導入経費が当初の想定よりもやや低価格で可能であったため.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の拡張シミュレータの導入の経費に加えて最終年度の研究を進めるために最適な構成を検討する計画である.
|