研究課題
子宮内の胎児への酸素供給は成長と発達に重要である。母体から胎児に酸素を供給するために重要な役割を果たす胎盤における血液酸素飽和度分布を、光音響技術を用いてイメージングし、胎児への酸素供給状況をモニタリングする方法について研究を行った。本年度はウサギを用いた動物実験を行った。ウサギは全身麻酔下で人工呼吸器を用いて呼吸回数を変化させることで一時的に低酸素状態においた。超音波エコーで胎盤が観察された周辺に光ファーバーを用いて光を照射し、光音響を測定し、得られた画像から胎盤の酸素飽和度を計測した。同時に近赤外分光法(NIRS)による計測と、パルスドップラ法による胎児心拍数のモニタリングを行った。母体を低酸素状態にすると光音響、NIRSともに胎盤及びその周辺部位における血液酸素飽和度の低下を認めた。NIRSにおいては光が照射されている母体の皮膚等の組織臓器を含めた光の経路全体の血液酸素飽和度の低下を観察していることになるが、光音響を用いた方法では胎盤における酸素飽和度を光音響画像から母体の皮膚等とは区別して計測することができた。ウサギ胎盤を超音波で明瞭に観察できたケースにおいては母体血のみを含む脱落膜と胎児血と母体血を含む迷路部における酸素飽和度変化の違いを測定することができた。また一方で、ヘモグロビン濃度分布を定量的に画像化する光音響イメージング画像再構成アルゴリズムについても研究を進めた。生体内の光伝播計算を光拡散方程式を用いた場合とモンテカルロ法を用いた場合で比較を行い、画像再構成で生じる誤差を検討し、モンテカルロ法を用いたアルゴリズムを開発した。
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