研究課題
2016年度は、大気モデルが空間的に非一様な場合に対する風速測定誤差の検証精度をあげるために、前年度に導入した衛星搭載風ライダーシミュレーター(ISOSIM-L)と大気モデルデータに加え、同大気モデルデータと整合するエアロゾルモデル(気象研究所MASINGARにより生成)を導入し、2010年1月と8月の各1か月分、異なる2つの衛星軌道にについて疑似衛星観測シミュレーション実験を行った。エアロゾルモデルのデータを基に波長2μmに対するエアロゾルと雲の後方散乱係数を全球で計算し、後方散乱係数の平均的な値を調べた。風速測定誤差は信号対雑音比に依存していることから全球で調べ、0.01-0.001の範囲にあることが解った。クラメール・ラオの不等式による風速測定誤差下限と信号対雑音比の関係性導いた。エアロゾルは南緯60°から北緯50°の高度4kmぐらいまで分布し、一方、雲は、高度約2kmまでは水雲、高度5-18kmは氷雲が多いことが解った。緯度方向における風速測定誤差は高度8km以下では0.5m/s、高度8-20kmにおいては1m/sの風速誤差で測定できる可能性があることが解った。風速誤差は、主に大気の空間的非一様性によることが解った。衛星光学センサーシステムとして要求される精度を調べるために、地表面計測からゼロドップラー周波数を抽出するISOSIMのアルゴリズムの改良を行った。具体的には、地表面と衛星間の距離変化にともなう地表面検出アルゴリズムの高度化、衛星の速度ベクトルと地球の自転ベクトルの関係の見直しを行った。砂漠域において、衛星姿勢を変化させながらゼロドップラー周波数抽出の検証し、衛星の姿勢変化による風速測定精度について一次評価した。また、ISOSIMを用いた疑似衛星観測シミュレーション実験結果について査読付き雑誌に論文2編を投稿した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画したとおり、大気モデルデータ1か月分について疑似衛星観測シミュレーション実験を行い、その実験結果を用いて統計的に信号対雑音比と風速測定誤差を調べられた、実験結果から高度別の風速測定誤差について統計的な結果が得られた、風速測定誤差下限と信号対雑音比の関係性を導く事が出来た、・疑似衛星観測シミュレーション実験の結果について論文2本を投稿した、ことによる。また、衛星光学センサーシステムとして要求される姿勢精度について一次評価を行う事ができたため。
本研究は順調に推移している。最終年度も疑似衛星観測シミュレーション実験を行い、衛星光学センサーシステムとして要求される姿勢精度をさらに調べ、研究分担者、研究支援者と協力をしながら当初の研究計画に従って研究を推進していく方針である。
2017年度に本研究課題に関し国際学会における招待講演依頼があり、外国旅費を確保する必要が生じたため繰り越すこととした
次年度に、研究代表者、研究分担者1名の国際会議の旅費に使用する。また、研究分担者1名の国内旅費に使用する
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