研究課題/領域番号 |
15K06130
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
和田 篤 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (40434021)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光ファイバ / センシング / 分布測定 / 干渉計測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は複数の半導体レーザを用い、注入電流変調による狭帯域波長掃引を利用した光周波数多重化方式に基づく分布型光ファイバセンシングを実現することにより、分布センシングに要する測定時間を大幅に短縮する事である。本年度に行なった研究は以下の通りである。 分布帰還型半導体レーザの電流変調特性を実測した。分布帰還型半導体レーザは電流を注入する事でレーザ光を発振させるが、この注入電流を増減させると、レーザ光の出力強度だけでなく、発振波長も僅かに変化する。この波長変化は静的に電流を変化させた場合は、増減させた電流の変化量にほぼ比例する。一方、正弦波信号や鋸歯状波信号を用いて電流を変調した場合においては、波長変化量と電流変化量は線形に対応しなくなる。本研究では所与の電流変調信号に対して得られる波長変化信号を把握する事は必須である。また、半導体レーザの注入電流制御に混入する雑音や、駆動温度のドリフトにより、発振波長に短期的な雑音や長期的なふらつきが生じる恐れがある。本年度はこれを測定し、評価を行った。 電流変調下における分布帰還型半導体レーザの瞬時波長の推定は以下のようにして達成した。偏波保持ファイバを用いた不等光路長マッハ・ツェンダ干渉計を用いて高分解能な瞬時波長の測定を行なった。変調に用いる信号には正弦波を採用し、変調後に得られる発振波長の短期的な雑音と長期的なふらつきの両方を測定した。測定の結果、短期的な雑音は0.08 pm であり、長期的なふらつきは 0.1 pm 以内である事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正弦波信号を用いた半導体レーザの注入電流変調下における発振波長の短期的な雑音と長期的なふらつきは充分小さい事がわかった。また、1台の半導体レーザを光源としたセンシングシステムを構成した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、構成した光周波数多重化方式型の分布センシングシステを用い、低反射率のファイバブラッググレーティングをセンサヘッドとして分布センシングの試行を行う。その後、光源の追加、最適なセンサヘッドの再設計と試作、及び取得信号の解析方法の改良に進む。
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次年度使用額が生じた理由 |
センサ用の特殊光ファイバの作成費用が想定よりも嵩んだため、残額が購入を予定していた半導体レーザの制御装置の購入費用を下回った。そのため、次年度に残額を繰り延べ、次年度の予算と合わせる事で器材を購入する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
基本的には、今年度購入を見送った半導体レーザの制御装置の購入費用に充てる予定である。しかし、センサ用の特殊光ファイバの最適化の優先度が高いため、そちらの方に充てる可能性もある。
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