本研究課題では,数理モデルによりヒトの感覚統合を調べることが目的であった.特に従来提唱されている線形和モデルが複数の感覚変容時に筋活動においても適用可能であるかを調べた.その結果,感覚変容による姿勢変容は従来研究の通りであっても,筋活動は各感覚の線形和とならないこと,再重み付けも他の感覚を単純に強化するわけではないことがわかった.定性的な分析から次の事柄が考えられる.①視覚による位置補正は大きい.②閉眼によって再重み付けが起きる.③他の感覚の変容は再重み付けを起こさない可能性がある.④未知の感覚や感覚同士の齟齬に対し,全身のstiffnessを向上させることで対応しようとした可能性がある.
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