本研究は,通信制御系のためのセキュリティ技術を量子化制御の観点から与えるものである.3つの方向性から研究を進めた. 第一に,縮退運転に関わるこれまでの基礎成果を学術論文にまとめた.モデルベース縮退運転制御に関わる基礎成果を学術論文1編としてまとめた.この中で,中間者攻撃とDoS攻撃に対する適用可能性と防御可能性について明らかにすることが出来た.また,縮退運転の状態推定方法において,制御系の制御ロジックのモデル化方法と攻撃検知範囲の関係性を明らかにし,解説記事1編にまとめた.制御ロジックのモデル化方法に加えて,その安全性や特性解析をカルマン正準分解の観点から考察し,学術論文1編にまとめた. 第二に,縮退運転システムを再生可能エネルギーシステムへ適用することを想定し,電力システムのフェールセーフとフェールソフトに関わる分散制御技術に着手した.再生可能エネルギーシステムにおいて蓄電池が故障した場合,故障による性能劣化の影響を局在化する方法を1つの分散制御ユニットで管理する機器の組み合わせ(グルーピング)最適化から与えた.研究手法はモデル予測制御に基づく分散制御手法とZDDに基づくグラフ列挙手法から構成される.前者については小規模な電力システムを対象に故障時にも継続的なシステム運用を実現する重複分散グルーピングの有効性と設計指針を明らかにした.後者については前者で得られた結果が比較的規模の大きい電力システムについても成り立つことを明らかにした. 第三に,適用可能な通信制御系の拡大として,マルチエージェントシステムの分散協調制御のフェールセーフとフェールソフトに着手し,学術論文としてまとめた.エージェント間で通信が到達できない場合,到達出来たとしてもお互いの位置を誤検知した場合,エージェントの渋滞を検出漏れした場合について,解析を行った.
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