研究課題/領域番号 |
15K06141
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
杉本 謙二 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (20179154)
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研究分担者 |
松原 崇充 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (20508056)
南 裕樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (00548076) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サンプル値 / 状態推定 / システム同定 / 連続と離散 |
研究実績の概要 |
本研究では連続量の離散化に伴う2つの課題に取り組む。すなわち、a) 不定期レート標本化によるモデルベース状態推定法の開発と、b) フィードフォワード学習制御におけるフィルタバング補間型の実時間システム同定である。平成28年度(2年目)は、1年目に行った基礎的な検討を踏まえて手法のさらなる充実に取り組んだ。 a) については、1年目に拡張した問題であるjitterへの対処として切替え型の状態推定法を様々な角度から検証した。また、本来の問題である不定期レート標本化には共通Lyapunov解による安定性の保証法を確立した。しかし残念ながら時変ゲインによって推定性能を向上する手法の完成には至らなかった。また、カルマンフィルタなどの確率的な解析・設計を試みたが、これもまだ成功していない。一方、ドローン飛行実験による提案手法の検証に取り掛かることができた。現状ではホバリング飛行のみではあるものの、年度末に国内会議で発表して多くの方からコメントをいただくことができた。このような取り組みによって問題の意義がより明らかになったものと考えている。 b) についてはフィルタバンク補間の限界がより明らかになったため、単独モデルによるフィードフォワード学習制御の拡充に専ら取り組んだ。非最小位相系への対処法やループ外からの信号による調整法、多入出力系の完全なパラメータ表示などが達成できた。これらについては国際会議に投稿して受理されたため、29年度に発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不定期レート標本化については、当初に設定した理論的課題のうち未解決な項目も残されている。しかし幾つかの新たな知見を得ることができ、また実験にも取り掛かって一定の結果を示せた。またフィードフォワード学習制御はフィルタバンク補間の確立にはまだ至っていないものの、当初予期していなかった側面で大きな理論的進展がみられた。よって総合的にはおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になるので、不定期レート標本化で残された理論的課題に全力で取り組むとともに単独モデルによるフィードフォワード学習制御の設計理論を完成させる。これらの実験検証も完了する予定である。さらに、これら2つのアプローチを統合し、センシング障害の下での2自由度制御系設計手法として提案する着想に至ったので、これを本研究の総括として実現させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度は理論的検討とシミュレーションによる検証が主であり、その後、提案手法の検証実験に取り掛かったものの、装置の組み上げなど初期設定に時間が掛かったため、29年度に追加器材の購入を持ち越すことになった。また、海外での成果発表や学術雑誌への論文掲載を29年度に予定しているため、28年度の使用額は控えめにしてきた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のように28年度の不使用分を29年度に回し、本格的な実験の遂行と研究の完成、および成果の発表に助成金を使用するよう計画をたてている。
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