本研究では、申請者グループが開発した携帯情報端末で動作するJamoxをベースとし、ウェアラブル端末と連携して利用できる制御系CADシステムを開発することを目的とする。ウェアラブル端末の特徴である通知や音声入力を活用することで、長時間かかるシミュレーション等の計算完了通知、計算継続や中止の指示が可能となり、計算の完了待ちからユーザを解放することできる。また、有用な情報をウェアラブル端末に表示することで、作業効率性を高め、ユーザの負担を軽減することを目指す。今年度は、具体的に以下の内容を実施した。 まず、本研究で開発している携帯情報端末(Android端末)で動作する数値計算ツール(matj)およびモデリング・シミュレーションツール(Jamox)から腕時計型ウェアラブル端末への通知について、文字、画像、音、振動を選択可能とすることで、実用性を高めることができることを確認した。そして、通知に対する応答機能を活用し、計算継続や中止の処理、パラメータ等の選択をウェアラブル端末から可能とすることで、操作性を向上させた。腕時計型ウェアラブル端末の特徴である音声入力を用いて応答を返すことも可能である。 そして、PC端末や携帯情報端末の画面上に表示されたモデリングやシミュレーションの対象となるシステムと対応付けられたマーカー画像をメガネ型ウェアラブル端末を通してみると、対象となるシステムの3次元画像や付加情報がリアルタイムに映し出されるツールを開発した。PC端末や携帯情報端末で行ったシミュレーションの結果データをメガネ型ウェアラブル端末と共有することで、3次元アニメーションによる検証も可能である。このツールを活用することで作業の効率性を高め、ユーザの負担を軽減するとともに、ユーザエクスペリエンス(利用満足度)を向上させることができる。
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