研究課題
前年度まで,トランスオーラル型の立体音響を実現する多入出力(MIMO)フィードバック制御系について検討を続けてきた。テレビ画面の外側にスピーカを複数個配置して,トランスオーラルシステムを構成する状況を想定した。このとき,カギとなるのは,MIMO制御系を非干渉化するフィードバック制御の構成と,さまざまな不確かさに対処できるロバスト制御系の構成である。特に,状態空間モデルを用いたH無限大モデルマッチング制御について詳しく検討し,新しい制御系の設計法を提案し,数値実験などを通してその有効性を確認した。本年度は,このモデルに基づく制御系設計法の有効性を,数値シミュレーションなどを通して確認した。さらに,制御対象のモデルを介することなく,対象の入出力データから直接コントローラを設計する方法について検討した。特に,制御系設計に用いる入出力データをインパルス応答系列に限定して,データベースでコントローラを直接設計する方法を提案した。具体的には,対象の音場は安定なので,そのインパルス応答が0に収束するという事前情報を用いて,カーネル型システム同定に基づいてコントローラを設計した。また,変数誤差モデルを用いたシステム同定法を適用することにより,入力信号にも雑音が含まれる場合に対しても,コントローラを設計する方法も提案した。これらの提案法を用いることにより,インパルス応答データから観測雑音の影響を低減しつつコントローラを直接設計することが可能になった。最後に,立体音響への適用を模擬した数値シミュレーションによって提案法の有効性を示した。
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SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
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日本音響学会誌
巻: Vol.73,No,5 ページ: 281-290