研究課題/領域番号 |
15K06152
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
陳 新開 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (50273347)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | スマートマテリアル / ヒステリシス / 高精度制御 / バイオテクノロジー / ナノテクノロジー |
研究実績の概要 |
まず、リレーやStop Operatorなどを参考し、入力に関するnon-smooth型非対称記憶要素を開発した。そして、外部及び内部の環境に依存する密度関数を開発し、密度関数と記憶要素の累積によってヒステリシスを表す静的モデルを提案した。それから、入出力の位相差を考察し、それを表現できるような非線形ダイナミックスを考案した。それから、この非線形ダイナミックスとヒステリシスの静的モデルを併せて、単調性を有しないヒステリシスの非線形動的モデルを構成した。 それから、人工筋肉及び超磁歪アクチュエータ実験によって提案したモデルの正確性・合理性を確認し、そのオンライン同定法を考察した。 それから、構築された新型非線形動的モデルに基づき、非線形適応法を導入し、ダイナミックスのパラメータ及び静的ヒステリシスモデルの密度関数をオンライン的に推定した。 続いて、ヒステリシスの出力を目標信号に追従させるように、モデルの不確かさを対処できるようなロバスト適応制御入力の構成法を検討し、閉ループシステムの安定性及び出力誤差を解析した。 さらに、得られた同定結果を基づき、計算機シミュレーションを行い、提案したロバスト適応制御法の有効性を検証し、パラメータの選択基準などを明らかにした。 最後に、提案した制御手法を人工筋肉/超磁歪アクチュエータの制御へ応用し、その高精度出力制御を実現した。従来の制御法と比較し、本研究で提案した新しい制御手法の精度・ロバスト性を検証した。また、圧電アクチュエータの制御にも応用し、提案手法の汎用性・長所・短所を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度において、当初に提出した研究計画に沿って研究を進めてきた。研究目的の前半の研究課題1及び研究課題2を取り込んで、比較的満足できる結果を得た。 研究課題1:単調性を有しないヒステリシスの特性について研究し、その数式モデルを構築し、オンライン同定アルゴリズムを提案する。 研究課題2:単調性を有しないヒステリシスのオンラインロバスト適応制御法を提案し、導電性高分子アクチュエータの出力制御及び超磁歪アクチュエータの高周波出力制御へ応用する。 研究成果を論文誌論文4編、国際会議論文6編、国内講演会6編にまとめ、発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初に提出した研究計画に沿って、下記の研究課題3及び研究課題4を取り上げ、研究を進めていく。 研究課題3において、考察されているシステムが外乱を含むサンドイッチ型動的システムであるため、適応アルゴリズムを提案し、制御則を構成できるような必要最小限のパラメータをオンライン的に推定する。そして、これらの推定に基づき、設計パラメータでシステムの出力誤差を高精度で制御できるようなロバスト制御則を合成する。それから、閉ループシステムの安定性を解析する。さらに、計算機シミュレーションを行い、提案制御法の有効性を検証し、パラメータの選択基準などを明らかにする。 研究課題4において、研究課題3で得られた理論成果をナノポジショナの高周波出力位置決め高精度制御へ応用する。まず、計算機シミュレーションを行い、コントローラの最適パラメータを大まかに選定する。そして、実験を行い、外部条件を変えながら、提案手法の有効性・ロバスト性・実用性を確認する。さらに、従来の制御法と比較し、提案手法の利点・欠点を明らかにし、実応用を目指して調整し、より望ましい制御応答を得られるように研究をしていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた実験器具(ホストコンピュータ及びデータ入出力ボード)が新しい仕様になるため、購入を延期した。また、論文が出版される時期は遅れたため、予定していた研究成果投稿料が発生しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度で購入を予定していた実験器具(ホストコンピュータ及びデータ入出力ボード)の新しい仕様商品を購入する。また、今年度で発生する研究成果投稿料を支払う。
|