研究実績の概要 |
遠隔ビークルの操作熟達に必要な車体感覚と密接な関係にある身体図式(body schema:身体の延長感覚)に関わる空間認知処理に,経皮的抹消神経電気刺激(TENS)で干渉してその向上を促す支援法の確立を目指し,本最終年度では研究小項目の,B3)身体図式改変増強法の導出と,C2)日常生活空間での運用評価,を実施した.項目B3として、身体図式変容時に重要な役割を担う視覚情報に着目し,ビークル操作上の視覚情報を実時間で加工・表示させると同時にTENSを可変印加させる車体感覚支援法を提案,さらにスマートフォンとの併用で日常的に携帯使用可能なポータブルTENS装置を開発[SI2017で発表]して検証システムを構築した.そして項目C2として,①TER事務室移動タスクと②DS細街路運転タスクを考案して,提案する支援法の効果を検証した. その結果,①では操作者の熟達度レベルに応じて身体図式改変に違いが認められ,実験協力者全員に共通した効能は確認できなかったが[SII2017,ICIT2018],②では安全距離が増して身体図式改変による車体感覚の向上が有意に確認され[ICIT2018,SAMCON18],一定の成果を得た.また近赤外光脳血流計測(NIRS)の解析手法として,身体動作不可欠な身体図式改変時に避けられない体動アーチファクトにロバストなNIRS版SPM(Statistical Parametric Mapping)を開発し[Brain Informaticsに掲載],本解析法によってTENSが身体図式に特徴的な脳部位に干渉していることが確認できた[平成29年度電気学会C部門大会で発表]. さらに上記過程で得られた知見を活かし,頭部視線協調運動同定に基づくTER操作支援を提案[ICISE2018,SAMCON2018],さらにTER近接空間に対する印象評価研究で優秀講演賞を受賞した[SI2017].
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