平成30年度は本研究課題の4年目となり,1~3年目に得られた結果を基礎とし,さらなる展開や応用技術を目標として研究を進めた.本年度において実施した具体的な研究テーマとしては以下が挙げられる. (1)システムに対する外乱やモデル化誤差に対応するために,最適制御問題を逐次繰り返し解くようなモデル予測型の制御手法を提案した.さらにリアルタイム制御の実現のために,計算量の低減に対する計算アルゴリズムの改良を行った.その結果,片端固定の弦・梁に対して,外乱が加わってもシステム全体を安定化するような制御が行えることが確認できた. (2)これまでの研究においては,制御対象の目標状態は変位がすべて0という安定化のみがあつ化されてきた.しかし,様々な応用を考えると,任意の目標軌道に対する追従制御も非常に重要となってくる.そこで,離散力学と非線形最適化を融合させたシステムの軌道追従制御の手法を提案した.具体的には最適制御問題における評価関数として,目標軌道と実際の軌道の誤差を評価する項を設定することによって軌道追従制御が行えるようにした. (3)具体的な物理例として弦・梁・膜を制御対象とし,提案手法の適用を行った.特に1次元弦に対しては目標の周期的運動を実現するような制御が実現できることがわかった.また,2次元膜に対しては,膜面に文字を生成するような制御問題を考え,提案手法によって文字生成が実現できることが確認できた. (4)線形近似されていない非線形モデルの弦・膜に対して離散力学と非線形最適化を融合させた制御手法を開発し,非線形モデルに対しても安定化制御が行えることを確認した.
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