研究課題/領域番号 |
15K06156
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
河合 宏之 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (70410298)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ペダリング運動 / 機能的電気刺激 / リハビリシステム / ローイング運動 |
研究実績の概要 |
本年度はペダリング運動に加えて,下肢のローイング運動(屈伸運動)についてモデル化をおこなった.これは,非健常者で残存する下肢の筋力が十分でない場合,ペダリング運動を実現することは困難であるが,ローイング運動であれば少ない筋肉での運動が可能であることに起因する.そして,ペダリング運動を拡張することで,理論的に安定化する制御則を提案した. 一方,リハビリシステムとしての有用性の観点から,非健常者での実験を実施するため,医療機関(済生会金沢病院)の協力を経て,提案する制御手法においての実験の実施ならびに有用性の検証をおこなった.これは計画時には想定していなかった点ではあるが,より実用的なシステムを作るうえで,実際のシステムを使用する非健常者の意見や理学療法士の意見は重要であるとの認識により,計画を変更している. 脳梗塞経験者で現在も片麻痺を有する被験者の協力のもとおこなった実験において,健常者と同様に提案する手法においてペダリング運動がスムーズにおこなえることを確認した.それに加え,8回(週2回,1か月間)の実験を経て,片麻痺を有する被験者が電気刺激の助けを借りずにスムーズなペダリング運動が実現できるように改善された.さらに,立ち上がり動作にも変化がみられ,実験前は健足側の左脚に体重を移動した後,立ち上がっていたのが,両脚での立ち上がりが可能となった.これは,本研究で提案している手法の副産物的な効果であるが,リハビリテーションの分野においては意義深いものであった.この副産物的な効果の検討については,今後の課題である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定される実際の使用者である非健常者の協力が得られたため,構築したペダリング運動システムを用いて実験をおこなった.継続的な実験を実施しており,構築したシステムを維持しておく必要があったため,システムを大幅に改善すること(例えばモータを付加するなど)に対する準備などが遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
より有用なシステムを構築するためには,非健常者の協力が不可欠になる.そのため,理論的な観点から研究を進めてはいくが,必要に応じて問題設定を見直す.具体的には,片麻痺を有する被験者においては,健足側は自発的な運動をさせて,非健足側に電気刺激を施すことが有用となるが,既に提案している制御則では両脚を刺激し,自発的な運動が出来ない場合しか想定していなかったので,片麻痺を有する被験者にも対応するような制御則を提案する. 実システムとしては,エアロバイクを用いたリハビリシステムに加えて,筋力が減少してきた人でも運動可能な交互屈伸運動を基にした移動体(リカンベントバイク)を検討する.この運動は27年度に提案したローイング運動に対する制御則を拡張することで実現する予定である. 提案する制御則や構築したシステムを,健常者ならびに協力を得られている非健常者(片麻痺患者),今後協力してもらえる非健常者(対麻痺患者など)で実験し,有用性ならびに改善点を検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
協力を得られた非健常者の継続的な実験実施を優先し,実験システムの改善が予定通りに進められなかったため.また,University of FloridaのWarren Dixon教授を訪問し研究課題に対する議論をする予定であったが,日程調整がつかずに実現しなかった.
|
次年度使用額の使用計画 |
リカンベントバイク(移動体)を基にしたリハビリシステムの構築に着手するため,リカンベントバイクの選定と購入を進める.また,Warren Dixon教授と議論するためにUniversity of Floridaを訪問する予定である.
|