研究課題/領域番号 |
15K06159
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 昌之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究員 (90358648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 線形パラメータ変動システム / ゲインスケジュールド制御 / 飛行制御 |
研究実績の概要 |
昨年までに「不確かなスケジューリングパラメータを想定したゲインスケジュールド出力フィードバック制御器設計法」を開発しているが,そこでは,実際のスケジューリングパラメータ値と無関係な絶対的な不確かさを想定していた.しかし,実システムにおいては,実際のスケジューリングパラメータ値に比例した不確かさも存在する場合があり,実用性を更に高めたゲインスケジューリング制御器として,両方の不確かさ(絶対的な不確かさおよび比例的な不確かさ)に対処可能な制御器が望まれ,設計法の開発を進めた.その結果,過去に開発した設計法の条件がスケジューリングパラメータおよび不確かなスケジューリングパラメータに関して affine であることから,両方の不確かさの区別が実質的には存在しないことを示すと共に,この事実を利用することで両方の不確かさに対処可能な制御器設計法を提案した.提案方法では,想定したスケジューリングパラメータおよび想定した不確かなスケジューリングパラメータから構成された直積集合を覆う minimum convex polytope を考えることで,両方の不確かさに対処可能であることを示し,提案設計法の有効性を数値例により示した. また,提案設計法を用いたゲインスケジュールドモデルマッチング制御器を実験用航空機 MuPAL-α の横/方向運動に対して設計し,制御性能確認のための飛行試験を行った.そこでは,スケジューリングパラメータである対気速度に含まれる計測誤差をより厳密に見積もることで,絶対的な不確かさと比例的な不確かさの二つのタイプの不確かさが混在していると問題設定を行い,制御器を設計した.飛行試験では,予想通り,提案設計法を用いて設計した制御器は,不確かさを想定しないゲインスケジュールド制御器よりもマッチング性能が高いという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,27年度にオブザーバ併合型状態フィードバック制御の構成を有するゲインスケジュールド制御器の設計法開発を実施する予定だったが,年度途中において,上司の退職があり,それに伴い,実験用航空機のメンテナンス管理が研究以外の仕事として追加された.その結果,研究時間を削減せざるをえず,進捗に少し遅れが発生している.
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今後の研究の推進方策 |
28年度上期内に,オブザーバ併合型状態フィードバック制御の構成を有するゲインスケジュールド制御器の設計法開発を終え,下期には実験用航空機の運動を対象とした制御器設計を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の理由による. 1:制御器設計用のパソコンを購入する予定だったが,現在使用中のパソコンでも対応可能であることが判明し,パソコンの購入を次年度以降としたため. 2:上司の退職に伴い研究時間のやむを得ない削減および拘束時間のやむを得ない増加により,研究動向調査等の旅費が当初予定より少なかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
制御器設計用のパソコンについては,設計に要する時間を考慮の上,購入時期を適切に定め購入する予定.また,28年度は当初の予定通り,研究動向調査を進める予定.
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