研究課題
昨年度までの検討成果,及び平成29年度が最終年度であることを考慮して,以下の点について検討を行った。最近におけるアスファルト廃材の物性,再生アスファルト混合物の運用について実状を調査し,これらを踏まえた今後の動向について考察した。アスファルト廃材の現状としては,劣化進行の高い廃材や改質アスコン廃材の増加,及びリサイクルの繰返しにより,旧アスファルトの性状は以前よりも堅く脆くなっている傾向がある。再生骨材の混入率は30%程度が標準となっており,その品質よりも需給バランスによる影響が大きい。再生用添加剤の活用はコスト等の問題で,必要最小限にとどまっている。今後においては,再生用添加剤の運用法の検討よりも,品質基準の下限値に近い,或は品質基準を下回る再生骨材を活用するための検討のほうが有用である。旧アスファルトを回収せずに再生骨材の品質を評価する方法として,半円形供試体曲げ試験によるアスコンのひび割れ抵抗性評価法について検討を行った。実施可能な実施要領と評価パラメータの選定が必要であるため,供試体寸法,切欠き寸法,載荷速度,及び温度を変化させた試験を通常のストレートアスファルト及び改質アスファルトの供試体に対して実施し,仕様と要領を策定した。評価パラメータとしては,応力ひずみ曲線のエネルギーよりも,応力ピーク以降の曲線傾きが適当であった。上記の実状を踏まえると,現実問題として,再生骨材のこれまでの運用手順を大きく変えることなく,評価方法と混入率,及び新規に配合するアスファルトのグレードを調整することによって,再生アスファルト混合物を製造していくことが,効果的かつ経済的であるとの考えに至った。そのための可能性の一つとして,改質アスコンの廃材のように現行の品質基準を下回る再生骨材であっても,混入率を低めに抑えることによって,これまでと同様に運用できるか否か検討を行った。
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The Baltic Journal of Road and Bridge Engineering
巻: vol. 12, no. 1 ページ: pp.30-37
Construction and Building Materials
巻: 152 ページ: pp.520-528