研究課題/領域番号 |
15K06163
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鳥居 和之 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50115250)
|
研究分担者 |
三原 守弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 地層処分研究開発部門, 副主任研究員 (00421652)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | プレキャストPC電柱 / ASR / DEF / 抑制対策 / フライアッシュ / 複合劣化機構 |
研究実績の概要 |
北陸地方では, プレキャスト電柱(PCa)においてPC鋼材に沿った縦ひび割れの発生が相次いで発見されている。一方,既設PCa電柱の現地調査より,PCa電柱をほぼ貫通するひび割れの発生は,地上から約3m,地下の約1mまでに達しており,とくに地際部のひび割れ幅が10mm程度の箇所では,内部のPC鋼材が激しく腐食していた。また,ひび割れからはASRゲルが滲み出ているものもあり,アルカリシリカ反応 (ASR)がひび割れ発生の一因であることが推測できた。PCa電柱は,設計基準強度が70N/mm2,単位セメント量が500kg/m3で,かつ石膏を多く含む配合となり,さらに蒸気養生が実施されていることから判断すると,遅延形エトリンガイト膨張(DEF)が縦ひび割れ発生に関与している可能性もあった。しかし,ASRとDEFによる複合的な劣化現象は,それらの発生条件やASRとDEFの相互作用の影響が明らかになっていないのが現状である。 そこで本研究では,北陸地方のPCa電柱の劣化度調査を実施するとともに,PCa電柱の安全性と使用性の確保の観点から,ひび割れと耐荷性との関係とフライアッシュによるASRおよびDEFの抑制効果を実験的に明らかにすることとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には,PCa電柱の実態調査を北陸3県で実施するとともに,縦ひび割れが発生したPCa電柱から採取したコンクリート片の偏光顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察を実施した。その結果,PCa電柱の縦ひび割れの原因が川砂(常願寺川および神通川産)のASRによるものであることが判明した。また,プレキャスト電柱の製造におけるフライアッシュの適用性を検討し,ASR抑制対策としてフライアッシュが有効であることを確認した。本研究の成果はすべて学術雑誌などにて公表した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には,地元のPCa電柱の製造工場におけるフライアッシュコンクリートの標準使用を目的にした,PCa電柱の配合設計と製造方法を確立する。フライアッシュコンクリートのPCやPCa部材への適用は全国的にも注目されているので,論文発表や公開セミナーにより広く情報を発信する。
|