振動波形を利用した構造ヘルスモニタリングの実現に際しては、構造物の動的応答は健全であっても環境温度などの影響で変動する。そこで本研究では、コンクリート供試体や実橋で振動計測を行い、季節や部材温度による振動特性の変化が損傷同定に重要であることを確認した。特に、プレストレストコンクリート供試体では、温度変化に加えて、ひび割れを発生の有無により振動特性の変化を検討した。この結果、大きな損傷が生じた場合には温度変化以上の振動特性の変化が発生するが、小さな損傷では温度変化などの影響が大きいことが明らかになった。なお、サーモグラフィカメラの温度計測は実環境では測定値の変動が大きいことも分かった。
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