研究課題/領域番号 |
15K06179
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小野 祐輔 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00346082)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メッシュフリー粒子法 / 地震 / 斜面崩壊 / SPH法 |
研究実績の概要 |
本研究では,地震時に発生する斜面崩壊の数値シミュレーションを実現するために,メッシュフリー粒子法の一種であるSmoothed Particle Hydrodynamic法(以下,SPH法)に基づく解析手法の開発を行っている.平成28年度における研究実績は以下のとおりである.(1)離散体の数値解析法である個別要素法解析を参照しながら,SPH法解析に対する斜面崩壊時に生じる滑り面の計算モデルを開発した.開発した計算モデルでは,基本的に個別要素法の解析方法に準じているため,粒子同士の噛み合いによる過剰な摩擦の発生が問題となる.この問題点については平成29年度の研究課題とする.(2)解析コードの三次元化に伴う計算時間の長大可を解消するために,OpenMPライブラリの導入による解析コードの並列化を実施し,その性能評価を実施した.開発した解析コードは,4から8コア程度の通常のデスクトップPCで用いられるCPUにおいて,十分な計算効率を持つことを確認した.(3)実被害の再現を行うために必要な解析モデルの作成を目的として,ドローンにより撮影した画像データに対する画像処理を行うことで三次元モデルを作成する技術を導入し,2008年宮城県内陸地震における荒砥沢地すべりに適用した.この技術により,解析の対象とする地点において,ドローンによる空撮を実施すれば,容易にSPH法による解析モデルを作成できるようになった.(4)数値標高データを用いて,半自動的に解析モデルを作成するシステムを開発し,2016年熊本地震における阿蘇大橋地すべりに適用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題の一つである,SPH法による粘着力が卓越した地盤において生じる崩壊の再現性の向上については,十分な成果が得られておらず,研究が遅れている.しかしながら,再現性が低減する原因についての解明は進んでおり,さらに平成29年度において実施する予定であった実被災事例を対象とした解析モデル作成に関する研究が予定以上に進行しており,総合的には順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
未だ十分な成果が得られていない,SPH法による粘着力が卓越した地盤において生じる崩壊の再現性の向上について,すべり面を適切に取り扱う計算モデルの開発を行う.具体的には,現状で問題となっている粒子同士の噛み合いによる過剰な摩擦力の発生を取り除くため,すべり面を構成する粒子同士に働く力の法線方向と接線方向への分解とカーネル関数による平滑化を試す.さらに,これまでに開発した解析コードと,解析のための三次元モデルの作成手法を用いて,2016年熊本地震において発生した阿蘇大橋地すべりを中心とした被災事例の再現解析を行う.
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