研究課題/領域番号 |
15K06187
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 千尋 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60230124)
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研究分担者 |
松田 浩 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20157324)
奥松 俊博 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30346928)
出水 享 長崎大学, 工学研究科, 技術職員 (00533308)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地方公共団体 / 橋梁 / 維持管理 / 簡易点検 / 健全度 / SfM技術 |
研究実績の概要 |
本研究においては,地方公共団体でも点検が可能な簡易点検診断法を検討する。また,画像解析を用いて耐候性鋼橋梁の簡易な外観評価法を検討する。さらに,光学的計測手法を用いて,橋梁全体の三次元座標を取得し,三次元解析モデルを構築する。これにより,既存の三次元解析モデルと合わせ,より詳細な三次元解析モデルを構築することができる。これらをデータベース化することにより,橋梁の維持管理が効率的かつ持続的に行われる環境を創出するのが本研究の目的である。本年度は,次の3つの準備的な研究を並行して進めた。 (1) 橋梁点検項目の相関評価:既に実施している長崎県管理の橋長15m以上の橋梁641橋の検査データから,橋梁全体の健全度とそれに最も影響を与えている部材や工種の健全度の相関評価を実施した。また,小規模な地方公共団体においても簡易に点検できるよう,小都市でのデータにおいても同様の分析を行った。さらに,いくつかの橋梁においては概略点検を行い,分析結果の妥当性を検討した。 (2) 画像解析による耐候性鋼橋梁の外観評価:簡易点検診断法を提案するにあたり,耐候性鋼橋梁においては画像解析による外観評価法を提案する。現在の方法は,採取したセロファンテープ試験により,粒径等の外観からさびを5段階で評価するものであるが,必ずしも十分定量的な基準が与えられているわけではないため,専門家でも判断に迷うことがあるのが実状である。今年度は,画像解析により粒径を測り,定量的で簡易な評価方法を検討した。 (3) 写真計測による三次元座標取得の検討:錆を発生させた試験片を対象として,市販の一眼レフデジタルカメラにより複数の方向から撮影した画像を用いて,SfM(Structure from Motion)技術により錆の3Dモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にあるように,3つの準備的な研究である,橋梁点検項目の相関評価,画像解析による耐候性鋼橋梁の外観評価,写真計測による三次元座標取得の検討は,おおむね平成27年度の目標を達成した。 したがって,「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については,平成27年度に得られた3つの準備的な研究をもとに,簡易点検診断法の提案とそれを用いた再点検および維持管理データベースの構築を行い,地方における橋梁の維持管理が効率的かつ持続的に行われる環境を創出する。具体的には,以下のように進めていく。 (1) 橋梁の簡易点検診断法の検討:平成27年度に検討した相関評価をもとに,地方公共団体でも点検が可能な,簡易点検診断法を検討する。また,耐候性鋼橋梁に関しては,画像解析による簡易外観評価法を提案する。提案する簡易点検診断法を用いて,特に市町管理の小規模橋梁を中心に点検を行い,改善を図る。 (2) 橋梁維持管理データベースの構築:平成27年度に取得方法を検討した多視点画像計測を橋梁全体に拡張する。コンクリート橋,鋼橋など橋種別での計測の問題点を明らかにし,多視点画像計測システムを確立する。最終的には,これらの三次元データと点検データをデータベース化し,橋梁維持管理データベースを構築する。 以上の結果をもとに,橋梁の維持管理が効率的かつ持続的に行われる環境を創出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品において,当初,デジタル一眼レフカメラを購入予定であったが,平成27年度の準備的な計測においては,計測手法の検討が主体であり,高性能のカメラは必要なく,他の研究費により購入したカメラを用いての多視点画像計測が可能であったため,今年度の購入を控えた。 また,消耗品費においても,他の研究費により購入した物品が代用できたため,使用を控え次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は,多視点画像計測を橋梁全体に拡張するため,次年度使用額を使って,高性能のデジタル一眼レフカメラを購入予定である。
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