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2016 年度 実施状況報告書

非接触変位場時刻歴応答計測に基づく既設構造物の表面き裂・内部損傷同定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K06197
研究機関立命館大学

研究代表者

野村 泰稔  立命館大学, 理工学部, 任期制講師 (20372667)

研究分担者 日下 貴之  立命館大学, 理工学部, 教授 (10309099)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードデジタル画像相関法 / き裂検出 / 不可視損傷検出
研究実績の概要

当該年度は,き裂の発生・進展前の画像を必要とせず,さらに荷重の変動幅に大きく依存しないき裂検出システムの開発を試みるとともに,不可視あるいは視認困難な状態にあるき裂を検出できるかどうか2種類の実験を通じて確認した.実験概要と得られた知見を以下にまとめる.

実験A(不可視な状態にあるき裂検出)では,要素内の見かけ上のひずみと主方向を算出し,これらをき裂開口量に換算して評価パラメータとすることで,き裂を検出することが可能であることが分かった.ただし,荷重の変動幅が小さく,低フレームレートで撮影せざる得ない状況下では,き裂開口量を推定するだけでは,き裂を検出することが困難となり得ることが分かった.この問題点を改善するために,き裂先端を含む要素に注目して,システムにより算出された対象要素のひずみと,その周辺要素のひずみの平均の比を新たなき裂検出パラメータとすることを考えた.いくつかの仮定をおくことで,このパラメータが対象要素内のき裂長さによって近似的に表されることを示した.そして,このひずみ比に閾値処理を施すことで,変動荷重幅に大きく依存せずき裂を検出できることが分かった.また,不可視な状態にあるき裂であっても,検出できる可能性があることが分かった.

実験B(振動状態にあるコンクリート床版下面のき裂検出)では,き裂を有するコンクリート床版下面が活荷重により振動状態にあり,かつ剥落防止剤により表面状態が視認困難な状態においても,き裂を評価できるか検討した.結果として,デジタル画像相関法を用いて,き裂開口量やひずみ比など力学状態を適切な時間領域で評価することで,き裂を定量的に検出できることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

不可視な状態にあるき裂を検出する試みは,前年度にも取り組んだものの,当該年度において,き裂を検出する方法を改善し,より高精度にき裂を検出する方法を提案できた.さらに,診断対象が振動状態にあり,カメラに近づいてくる状況においてもき裂を検出することができた.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

最終年度は,これまでに構築した要素技術を統合化し,診断対象全体系を効率的に点検・診断可能なシステムとして開発を進める.以下に検討項目を整理する.

1.Deep learningによる構造き裂検出システムの開発とUAV撮影画像への適用:き裂の画像を深層学習により学習し,UAVで撮影される構造全体系の多数の画像に対して,き裂の有無・領域をスクリーニングするシステムを構築する.

2.多視点画像解析技術(SfM解析)と画像相関法を利用したき裂進展解析システムの開発:1.でスクリーニングされたき裂発生箇所に対して,SfM解析結果から構築された3Dモデルを用いてき裂発生原因および進展可能性を評価できるシステムを構築する.

次年度使用額が生じた理由

室内レベルの供試体実験がスムーズに終わり,試験片費用と冶具等加工費を当初の見込み額より大幅に低減できたことが理由である.

次年度使用額の使用計画

実橋梁を診断する際,近接できる状況は少なく,理想的な位置関係(真正面撮影など)で撮影することはほぼ不可能であることから,任意方向から撮影した場合でも,正確に変位場時刻歴応答が計測できなければならない.今後,2台の工業用カメラを用いて,診断対象をステレオ撮影することと,Structure from Motion技術により,表面変位場の時刻歴応答を算出し,結果を3次元空間上に展開する予定である.前年度の残額は,それらの機器を整備するために使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 非接触変位場応答計測に基づく不可視損傷検出の基礎的研究2016

    • 著者名/発表者名
      野村泰稔,内山洸,野阪克義,日下貴之
    • 雑誌名

      土木学会論文集A2(応用力学)

      巻: 72(2) ページ: I_87-I_96

    • DOI

      http://doi.org/10.2208/jscejam.72.I_87

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 深層学習に基づく配管バルブの健全性モニタリング2016

    • 著者名/発表者名
      野村泰稔,井田一晟,宮地翼,宮本学,菅真人
    • 雑誌名

      土木学会論文集F6(安全問題)

      巻: 72(2) ページ: I_183-I_190

    • DOI

      http://doi.org/10.2208/jscejsp.72.I_183

    • 査読あり
  • [学会発表] 地震応答のARモデルと粒子群最適化を用いた構造損傷同定2016

    • 著者名/発表者名
      野村泰稔,井手和也,山際渚,伊津野和行
    • 学会等名
      第29回信頼性シンポジウム講演論文集
    • 発表場所
      東京理科大学森戸記念館(東京都,新宿区)
    • 年月日
      2016-12-15
  • [学会発表] 深層畳込みニューラルネットワークによるバルブの固着損傷診断技術の開発2016

    • 著者名/発表者名
      野村泰稔,井田一晟,宮地翼,宮本学,菅真人
    • 学会等名
      第29回信頼性シンポジウム講演論文集
    • 発表場所
      東京理科大学森戸記念館(東京都,新宿区)
    • 年月日
      2016-12-15
  • [学会発表] 非接触変位場時刻歴応答評価に基づくCFRP補強鋼板のき裂検出2016

    • 著者名/発表者名
      野村泰稔,内山洸,野阪克義,日下貴之
    • 学会等名
      材料学会第65期学術講演会
    • 発表場所
      富山大学(富山県,富山市)
    • 年月日
      2016-05-29

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公開日: 2018-01-16  

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