研究課題/領域番号 |
15K06199
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岸 徳光 釧路工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (30153076)
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研究分担者 |
小室 雅人 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10270183)
栗橋 祐介 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30414189)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | RC梁 / FRPロッド埋設曲げ補強 / FRPシート接着曲げ補強 / 耐衝撃問題 / 重錘落下衝撃実験 / 弾塑性衝撃応答解析 / 破壊エネルギー等価 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、申請者が過去に実施したFRPシート接着曲げ補強RC梁と同一断面RC梁を製作して、主に重錘落下衝撃実験を実施した。実験では300Kg重錘を用いた漸増繰り返し載荷実験と単一載荷実験を実施した。実験結果、シート接着補強の場合にはシート破断で終局に至る入力エネルギーに対してもロッドは破断せず、効率的に耐衝撃性を向上可能であることが明らかになった。実験では高速度カメラを用いたひび割れの進展を1ms単位で観測し、2つの工法におけるひび割れ進展状況の違いを明らかにした。シート補強の場合には、ひび割れが載荷点部に集中して角折れの状態に至り、シートが破断する傾向にあること。ロッド埋設補強の場合には、ひび割れが梁全体に広く分散し、梁全体で衝撃力に抵抗する傾向を示し、ロッドにも局所的に過度な応力が作用しないことが明らかになった。本実験結果は、平成27年度土木学会北海道支部に発表した。さらに査読付き論文である平成28年度JCI年次論文集に投稿し、掲載可となっている。 数値解析的な検討では、実験結果を基にLS-DYNAを用いた数値解析を試みている。その結果、無補強時と同様な解析を行う場合には梁下縁にひび割れが発生し、早期にロッドが剥離して補強効果を発揮しないことが明らかになった。現在、ひび割れを実実験と同様に線状に発生させロッド/シートの剥離を抑制するために、著者が過去に独自に提案したコンクリート要素の引張破壊に関するひずみエネルギー等価理論を適用し、その妥当性を検討中である。検討の結果、コンクリート要素の軸方向要素長を5mm程度にすることによって、適切にひび割れ分布を同定することが出来ることと、ロッド/シートの剥離を抑制可能であることが明らかになりつつある。平成28年度には、これらの計算精度高めて査読付き論文や国際会議論文集に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験研究では、FRP ロッド埋設曲げ補強RC梁に関する重錘落下衝撃実験も順調に実施することができた。コンクリート強度に多少差があったが、FRP シート接着曲げ補強RC梁との比較検討も行い、特性的な違いを明らかにすることができた。 数値解析的研究では、コンクリートの引張破壊エネルギー等価の概念を導入することによって、FRP ロッド埋設/FRP シート接着RC梁に関する耐衝撃応答解析を実施可能であることの目安を立てることができた。 以上より、研究は当初の計画通りに順調に進んでいるものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実験研究的には、全ての試験体のコンクリート強度を等しくして、AFRP ロッド埋設補強RC梁やAFRP/CFRP シート曲げ補強RC梁を製作して、低速度衝撃から各梁が終局に至る速度まで種々変化させた単一衝撃載荷実験を実施して、FRP ロッドとシートの違いやシート材料の違いによるRC梁の耐衝撃性に関する詳細な検討を実施する予定である。 なお、当初はロッドの材料を変えた実験を実施することを計画していたが、CFRP ロッドが入手困難であることより、シート材料を変化させた検討を行うこととした。また、当初ロッドの補強割合も変化させることとしていたが、上述の検討を精度良く実施するために、この種の検討は次年度に先送りすることとした。 数値解析的研究では、FRP ロッド埋設/シート接着RC梁に関して、載荷速度を種々変化させた場合における数値解析を行い、実験結果と比較することによって、FRP ロッド埋設/シート接着RC梁に関する弾塑性衝撃応答解析手法を確立したいと考えている。 以上を総合し、合理的補強設計法の確立に繋げたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者である小室氏と栗橋氏に関して、土木学会全国大会や北海道支部研究発表会、日本コンクリート工学協会年次論文発表会、構造工学シンポジウムに出席して討議を行っているが、研究旅費の使用額が予定より少なかったことより、次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度開催の土木学会全国大会あるいは日本コンクリート工学協会年次研究発表会の出張旅費等として計上する計画である。
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