研究課題/領域番号 |
15K06213
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
酒匂 一成 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (20388143)
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研究分担者 |
里見 知昭 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (80588020)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 不飽和土 / 蒸発 |
研究実績の概要 |
本研究では,一般的な気象データから蒸発量を推定できるバルク法を用い,そのパラメータの一つである蒸発効率について着目し,不飽和土の蒸発特性について明らかにすることを目的としている。昨年度は,豊浦砂およびまさ土の体積含水率~蒸発効率の関係を得るための室内土槽・水槽試験を行い,その試験データを分析することで,蒸発効率よりも東北大学の近藤らが提案する土中の間隙の奥から地表面までの水蒸気の流れに対する距離F(θ)でまとめた方が分析しやすいことが分かったことから,本年度では,そのパラメータについてこれまでに得られた試験データの分析を行うと共に,使用した試験の土の種類,粒度や間隙比に対する不飽和土の蒸発特性について検討を行った。 一方,土中の間隙の奥から地表面までの水蒸気の流れに対する距離F(θ)と土中の体積含水率との関係を確率・統計を援用した概念モデルを用いて,一般的な土質データから推定するため,今年度は,概念モデルの骨格をなす粒度分布および間隙径分布に関する計算方法について改良を加えた。また,F(θ)を求めるための計算方法について,モデルの考え方や計算方法の流れについて検討を行った。また,蒸発特性の把握や概念モデルの開発において,不飽和土の水分保持特性を検討する必要となったため,保水性試験機の作製を行った。 来年度は,検討した計算方法について,試験データとの比較などから計算方法のアルゴリズムの確立と妥当性の検討を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,昨年得られた試験データおよび知見から,土中の間隙の奥から地表面までの水蒸気の流れに対する距離F(θ)を用いた試験データの分析を行うと共に,使用した試験の土の種類,粒度や間隙比に対する不飽和土の蒸発特性についてまとめた。 また,土中の間隙の奥から地表面までの水蒸気の流れに対する距離F(θ)と土中の体積含水率との関係を確率・統計を援用した概念モデルについて提案するために,概念モデルの骨格をなす粒度分布および間隙径分布に関する計算方法について改良を加えることができた。一般的な土質データから推定するため,F(θ)を求めるための計算方法について,モデルの考え方や計算方法の流れについて検討を行うことができた。蒸発特性の把握や概念モデルの開発において,不飽和土の水分保持特性を検討する必要となったため,保水性試験機の作製を行った。以上より,概ね順調に研究が進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,検討した概念モデル計算方法について,試験データとの比較などから計算方法のアルゴリズムの確立と妥当性の検討を行う予定である。また,モデルの入力パラメータのデータ蓄積を行う予定である。また,研究成果の公表を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,研究代表者が長期に海外研修を行っていたため,当初予定していた学内におけるデータ蓄積のための試験に代わり,主にデータの分析および概念モデルの詳細検討に重点を置いたこと,分担者との打ち合わせをメールで行ったことで,当初の執行予定から変更が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は,概念モデルの入力データや妥当性検証に必要なデータを得るための試験を実施することで,必要な器具および消耗品の購入,試験実施およびデータ整理に関する謝金に利用する予定である。また,分担者との研究成果および今後の研究計画についての打ち合わせを行うための旅費に利用する予定である。
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