研究課題/領域番号 |
15K06214
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
川端 伸一郎 北海道科学大学, 工学部, 教授 (10224833)
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研究分担者 |
亀山 修一 北海道科学大学, 工学部, 教授 (30295894)
石川 達也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60359479)
佐藤 厚子 国立研究開発法人土木研究所, その他部局等, その他 (80414176)
高見 雅三 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, その他 (00446353)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 北海道の気象特性 / 路面点検 / 凍上・融解挙動評価 / 理論的設計方法 / 凍結融解作用 |
研究実績の概要 |
社会インフラの老朽化対策や長寿命化計画は我が国における喫緊の課題であり,このような課題には多く研究事例が存在する.しかし,寒冷気象下で生じる現象と関連付けてこのような問題を扱った研究は非常に少ないのが現状である.本研究は舗装の長寿命化を目指し,特に寒冷地で生じる凍上現象への対策工法について取り扱うものである. 平成27年度は,北海道の気象特性を取りまとめ,凍結指数の地域分布や年代特性を明らかにし,さらに近年に多発した融雪期の斜面崩壊に関連して降雨特性についても分析を行った. また,路面の点検手法として,歩きながら点検する歩行点検と走行車両から点検する走行点検の2方法を考え,路面性状値が既知の舗装において両点検を実施し,その精度について検討した.歩行点検の正解率はひび割れとわだち掘れが約80%,縦断凹凸は約60%であり,点検経験を積むと正解率が向上した.走行点検ではひび割れとわだち掘れが約60%,縦断凹凸は約70%であり,経験を積むとひび割れでの損傷レベルが大きい箇所で正解率が上昇することが分かった. 積雪寒冷地で観測される地盤の凍上・融解現象を簡略モデル化した応力変形・熱伝導・飽和-不飽和浸透連成FEM解析プログラムを開発するとともに,当該プログラムを用いて凍上試験の数値実験を行い,試験結果との比較検討により,導入した支配方程式の妥当性や解析パラメーターの設定方法など提案する数値解析手法の適用性について検証した.また,実務設計レベルでの利用を想定し,凍結融解作用を受けるアスファルト舗装の数値シミュレーションを行い,凍上時および融解時の舗装構造の力学挙動を把握するとともに,道路舗装の理論的設計方法を用いて,路床の凍上・融解現象がアスファルト舗装の構造設計に及ぼす影響を評価した.その結果,凍上・融解現象がアスファルト舗装の疲労破壊に強い影響を及ぼすことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は「①凍上被害箇所の抽出方法の検討」,「②設計用値としての凍結指数の算出法の検討」,「③路床土の凍上性評価を中心とした被害箇所の地盤調査」を研究計画に挙げていたが,すでに①と②については研究実績が伴っている. ③については多少の遅れはあるものの,被害個所からのサンプリングも進んでいることから,全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
「凍上被害箇所の抽出方法」については,被害調査の方法や精度の向上を目指す. 「設計用値としての凍結指数の算出法」については,データおよび解析手法を追加しながら継続的に検討する.また,近年の災害事例から気温(凍結指数)以外にも降雨や積雪も重要な気象要素であることから,凍結指数の分析に併せて他の気象要素についても地域特性などを明らかにする. 被害箇所の地盤特性を明らかにするため,試料収集を進め凍上試験を中心とした室内試験を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に一部遅れが生じているためであり,今後の研究遂行によって支出される予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
遅れの生じた研究内容については,次年度の当初計画に追加して実施する予定であり,これに関する経費として支出する予定である.
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