研究課題
本研究は,凍上被害の実態を取りまとめ,確率論に基づく凍結指数の算出法および路床の凍上性を考慮した置換率を示し,新たな凍上対策工法の設計手法の開発が目的である.平成29年度は,凍上被害を受けた51地点の路床土をサンプリングし,粒度,コンシステンシー,強熱減量など凍上性と関連する物理指標と凍上性の関係を取りまとめた.つぎに,凍結深さの推定に用いる凍結指数に着目して,各種指針等が示す確率凍結指数の算出法について現状と課題についてとりまとめた.現行の指針等では,凍結指数の確率分布を対数正規分布に限定しており,その影響で推定される凍結指数は真値よりも過大となる.確率凍結指数を求めるための最適適合分布は,指針法の対数正規分布の選出割合が極めて低く,極値I型分布は本州エリアに限定され,対数正規分布の岩井法は北海道エリアが大部分を占めており,凍結指数の発生確率に地域性が高いことを明らかにした.また,指針等が提唱する11年分という限られたデータで解析すると,特異な年度の影響で確率凍結指数が大きく変動しており,30年以上のデータ数にならなければ,安定した結果を得ることは難しかった.この対応としては,30年以上のデータを用いることで解析結果の安定を図り,構造物のライフサイクルをイメージして最長で50年分のデータ範囲で凍結指数を求めることを提案した.気象観測地点は限定されるため未知地点の凍結指数および凍結期間を推定する方法として,緯度・経度と標高を指標に,重み付き平均法,逆距離加重法,クリギング法,地形補正法の有用性を検討した.個々の解析で得られる凍結指数の特性を地域別に分類し,設計値として扱う際の留意点を取りまとめた.路盤の品質管理の迅速化および精度向上のため,衝撃加速度によるCBRの推定を試みた結果,ばらつきはあったもののその可能性を示唆することができた.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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