研究課題/領域番号 |
15K06216
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
重松 宏明 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90353268)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 短繊維 / 石灰系固化材 / せん断強度 / ダイレイタンシー / タフネス |
研究実績の概要 |
東北地方太平洋沖地震(2011.3.11)において道路や河川堤防,造成地といった多くの土構造物が軒並み崩壊したように,土の強度発現のみの追求では,大きな外力に対しての安定性・耐久性は担保できない.そこで本研究では,筆者らがこれまで開発してきた廃棄物由来の石灰系固化材に,同じく廃棄物である短繊維(ポリエステル)を組み合わせた“短繊維混合固化処理工法”を検討することにした.この工法の特徴は,土や安定処理土に長さ数十~数百mm程度の短繊維を混ぜ合わせることによって,短繊維と土粒子もしくは短繊維同士を複雑に絡み合わせて土そのものに“引張力”を持たせるところにある.強度(strength)に加え,靱性(toughness)という“粘り強さ”を土の素材として新たに組み込むことによって,地盤材料としての力学的な向上が期待できる. 当該年度に実施した一連の室内実験の結果から,以下のような知見を得た. (1) 固化材を使用しない短繊維のみの混合は,顕著なひずみ硬化挙動を示すものの,大きな強度発現効果は得られない.この要因の1つとして,短繊維による過剰間隙水圧減少の抑制が挙げられる. (2)藤森土のようなシルト質土を処理対象土とし,かつ本研究の配合条件の範囲内(固化材混合率8~12%,短繊維混合率1%以下)であれば,短繊維と本固化材との組み合わせは非常に良好で,強度と靱性の両者を併せ持つ材料の性質へと改良が期待できる.また,限界状態においても,短繊維と石灰系固化材を組み合わせることにより,土粒子間の摩擦抵抗はより一層大きくなる. (3) 短繊維と石灰系固化材の組み合わせによって圧縮タフネス(JCI規準)は増大し,靱性に富んだ材料の性質へと変化していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
室内実験はほとんど成功し、当初予定していた以上の成果を得ることができた。これらの成果は学会(土木学会、地盤工学会)等で発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度においては、短繊維混合固化処理土の養生初期における力学特性の把握に重きを置いた。次年度からは長期養生での実験を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(B-A)は866円と少額で、当該年度で直接経費(1,200,000円)のほとんどを使用している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の直接経費に組み込み、当初の予定通り使用する。
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