研究課題/領域番号 |
15K06230
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
相馬 一義 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (40452320)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 雲解像モデル / 降雨予測 / 都市活動 / 大気陸面結合モデル / 局地的大雨 / 大気陸面相互作用 / 高解像度地表面状態量推定 |
研究実績の概要 |
近年,都市域での短時間強雨による深刻な被害が多発しており,都市と郊外の気温差がその一因として指摘されている.気温差を考慮して短時間強雨予測精度を高めるためには,衛星リモートセンシングデータを活用した高解像度かつ正確な地表面状態量(地表面温度・土壌水分量)の推定・導入が不可欠であるが,具体的な手法構築は未解決の大きな課題となっている. 本研究では,最先端衛星リモートセンシングを駆使した高解像度(数km)地表面状態量推定を行い,短時間強雨予測に導入するシステムを構築する(課題1).さらに,最先端機器(地表面状態量直接観測・新型降水レーダー等)を駆使した観測結果を用いて検証・改良を行い,短時間強雨予測精度向上に対する高解像度かつ正確な地表面状態量推定の効果を明らかにする(課題2). 課題1について,理化学研究所小槻峻司研究員,千葉大学樋口篤志准教授,名古屋大学篠田太郎准教授,加藤雅也研究員らと共同して,研究代表者らがこれまで開発してきた詳細な都市活動(人工排熱・建物高さ分布)を考慮可能な短時間強雨予測に,小槻博士らが構築した高解像度地表面状態量推定結果を取り入れるシステムを構築した. 課題2について,研究代表者らが構築してきた短時間強雨予測システムを用いて2001年8月を対象とした連続予測実験を行い,AMeDASによる多地点観測値と比較して精度を検証した.その結果,日平均気温・日最低気温・日最高気温については観測値との高い相関を示し,十分な精度がみられた.降水量についても気象庁解析雨量と比較検証を行ったところ,台風の事例ではよい精度が見られたが局地的大雨の事例では精度が十分でなく,精度向上へ向けたさらなるシステムの改良を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の点で研究が順調に進んでいる 1.最先端衛星リモートセンシングを駆使した高解像度(数km)地表面状態量推定について理化学研究所小槻峻司研究員・千葉大学樋口篤志准教授らの,短時間強雨予測への導入について名古屋大学篠田太郎准教授・加藤雅也研究員らの協力が得られ,システム構築に大きな進展が見られた. 2.開発した短時間強雨予測システムの検証について,長期(1か月程度)の連続予測実験を行い,日平均気温・日最低気温・日最高気温の統計量及び事例ごとの降水量分布について検討した結果,システムについて改良すべき点がより明確となった.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,課題1「高解像度地表面状態量推定を導入した短時間強雨予測システムの構築」について,平成27年度の検証で大きな不確実性がみられた交通量分布データについてより詳細なデータを用いて人工排熱量分布を再推定し,より高精度な地表面状態量推定を行いその短時間強雨予測への導入を目指す.課題2「開発した短時間強雨予測システムの最先端観測との比較による検証・改良」については,本研究で開発した短時間強雨予測システムを用いた高解像度計算を行い,短時間強雨集中観測データと比較した検証を行う.まず,静穏な夏季晴天日を抽出して都市域と郊外との気温差について,AMeDAS観測値を用いて検証し,地表面状態量直接観測・ドップラーライダー観測と比較してヒートアイランド現象の再現性を検証する.次に,京阪神で降水が見られた事例についてXバンドMPレーダー,フェーズドアレーレーダー,雲レーダー観測値も活用し,積乱雲が発生・発達する際の風速・気温・水蒸気・雲量の再現性を検証する. 平成29年度は課題2について,大気場の初期条件・境界条件は再現計算と同一であるが,地表面状態量(地表面温度・土壌水分量)のみ別な年の推定値に入れ替えた仮想実験を行う.再現計算と仮想実験の結果を比較することで,現実的に起こりうる地表面状態量の差がヒートアイランド・局地的大雨に与える影響を明らかにし,本研究で開発した詳細な地表面状態量推定システムを導入する意義を明らかにする.また,本研究で得られた研究結果について,査読付き論文(Journal of Geophysical Research誌等),学会発表(American Geophysical Union等)にて学術的に公表するとともに,ウェブ上で最新の成果を公開し,一般の方にもわかりやすい解説に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも高解像度地表面状態量推定を導入した短時間強雨予測システムの構築と検証について進展があった結果,予想以上に都市域での地表面加熱が短時間強雨予測に与える影響が大きいことが明らかになり,自動車等が放出する排熱について不確実性が大きいことが問題となった.そのため,新たに交通量分布データを購入し,自動車等が放出する排熱についてより詳細に推定することを目指す. 以上を平成28年度中に行い研究を円滑に進めるために,平成27年度で執行する予定であった予算について見直しを行いより少額で当初の目的を達成できるよう合理化を図った.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度により詳細な交通量分布データ(Esri Japan製 ArcGIS用PAREA-Traffic全国)を購入する予定である.
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