研究課題
本研究では,津波・洪水漂流物に見られるような流体・構造連成災害など,流体と固体間の運動量と熱の連成現象に関連するマルチフェイズ現象を対象とする並列計算手法を提案し有効性を検討した.解法として,(1) Euler-Lagrangeモデルと,(2) Eulerモデルの2種類の解法を提案している.前者では,固体モデルは剛体として扱われ,複数の四面体要素で表現される.固体間の衝突力は固体モデル内部に複数設定された接触判定球を利用して,個別要素法により求められる.また,固体に作用する流体力は,多相場の外力・圧力および粘性項の体積積分から求められ,抗力係数のような経験則を使用しないという利点がある.一方,上記(2)のEulerモデルは,固体が柔軟物体(粘弾性体)である場合の解法であり,時間的に変形しないEulerセルのみを利用して有限体積法により流体と固体の挙動を求める.上記(1)と(2)のいずれの解法も分散メモリ環境で並列計算が可能であるが,特に(2)の解法では並列化に伴う通信処理が簡単になるという利点がある.これらの解法を,(a)堰を越流落下する水流による礫群の洗掘実験への適用,(b)水柱崩壊による礫群輸送の数値実験,(c)高温粒子群を通過する低温液体の数値実験,(d)せん断弾性係数が温度に依存する粘弾性体を含む流れの数値実験,などに応用した結果,実験結果とよく一致する計算結果が得られるとともに,数値実験結果では物理的に妥当な計算結果が得られることが確認され,提案された解法の有効性が示された.特に,スーパーコンピュータを利用する大規模並列計算を行うことにより,本研究のEuler-Lagrangeモデルでは,約10万個以上の固体モデルを含む計算条件における,固体モデル周辺の流れや固体モデル間の接触移動などの計算が可能となり,実験結果を良好に再現することが示された.
すべて 2017
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ICHMT International Symposium on Advances in Computational Heat Transfer(CHT-17)
巻: - ページ: 254
土木学会論文集 A2(応用力学)
巻: Vol.73,No.2 ページ: I_143-I_152
10.2208/jscejam.73.I_143
巻: Vol.73,No.2 ページ: I_377-I_386
10.2208/jscejam.73.I_377