研究課題
本研究では,無線操縦のマルチコプター(最近ではドローンやUAVと呼ばれることが多くなった)から撮影した静止画像やビデオ画像を高度なレベルで利用可能とするソフトウェアを開発し,河川の広範囲に渡る土砂環境および流況調査を行うことを目的として現地計測に基づく研究を遂行した.河川の土砂環境の対象は兵庫県揖保川中流域の湾曲部であり,2013年度に実施して得ていたステレオ画像地形計測と,その後毎秒1000トン規模の出水があった2015年度の結果比較から砂州上の詳細な河床変動を明らかにした.すなわち,砂州上において縦筋状に河床低下する現象を見出し,洗掘された土砂が湾曲部下流側で堆積状況を示した.河床の粒度分布については,マルチコプターによる撮影高度を様々に変化させて垂直撮影した画像を組み合わせて粒径分布を画像計測し,砂州表面における粒度分布を詳細に得た.河川表面流の流況に関しては,信濃川旭橋周辺を対象とし,いわゆる知的画像解析と呼ばれる最新のアルゴリズム(SIFTやRIPOCなど)を組み合わせたブレ補正プログラムを開発し,融雪洪水の流れの計測に適用した.流れの計測には,研究室で開発してきたSTIV(Space-time image velocimetry)を活用し,同時に行われたADCPとの比較においても十分な精度で流速分布や流量を推算できることを示した.また,橋脚の間を高速で通過する洪水流の下流への影響範囲についても良好に把握することができた.また,STIVを発展させたSTVV(Space-time volume velocimetry)を開発し,流速ベクトルを算出できるようにした結果,信濃川の900m区間の流況を数度のフライトのみで把握できるようになった.このように,本研究の遂行により,河川の現地計測の内容を大きく発展させることに貢献できた.
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土木学会論文集B1(水工学)
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