研究課題/領域番号 |
15K06243
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
伴野 雅之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (80549204)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気候変動 / 砂浜 / 海浜変形 / 海面上昇 / 波候変化 / 汀線変化 / 長期予測 / 長期観測データ |
研究実績の概要 |
本研究は,将来の気候変動に伴う波候・海面水位の変化に対して,海浜地形に生じる変化を数値モデルによって全球的に予測し,そのリスクを評価するものである。本研究は主に「地形変化モデルの構築」,「地形観測データを用いたモデルの検証」,「将来予測用入力データの解析・整理」,「海浜地形の将来予測とリスク評価」の四つで構成され,平成27年度までに,地形変化モデルの構築は完了し,リスク評価手法の開発を実施した。この結果,波崎海岸での将来予測とリスク評価については,海面上昇によって海岸侵食が増大し,さらには波候が変化することで大きく沿岸災害リスクが高まるという結論が得られた。 このような予測を全球上の様々な海浜において実施するために,平成28年度においては,全球上の複数点での将来予測用の入力データを収集・整理した。具体的には,波崎海岸(日本),オーシャンビーチ(アメリカ西海岸),コロライ・ナラビーンビーチ(オーストラリア),トュルク・ヴェールビーチ(フランス)の海浜地形変化の観測データの収集・整理を行い,一部のデータを用いたモデルの検証を実施した。これらの海浜はそれぞれ底質の粒径や波浪特性も異なり,いずれも10年~数十年間の長期の地形観測データであることから,地形変化モデルの一般化に非常に有益である。 平成29年度には,これらのデータを用いて,モデルの一般化の検証を行うとともに,全球各点での海浜地形の将来予測とリスク評価を行い,研究を取りまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海浜地形変化モデルの構築は完了しており,全球の海浜地形観測データも当初の予定通り収集できた。これらのデータを用いたモデルの検証と将来予測については,やや時間を要しているものの,平成29年度に行う予定のリスク評価に関する手法は既に確立できていることから,以降の研究は円滑に進展するものと考えている。以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては,全球各点での長期地形観測データの解析を行い,その特性を把握した上で,それぞれに対して将来予測を行う。特にデータの整理および将来予測については海外研究協力者と密接な連携をとりながら推進する予定である。将来予測結果については,気候変動による沿岸災害リスクとしてまとめ,総合的な評価を行う。さらには得られたリスクが現地において妥当な結果であるのかを過去の災害事例や海象特性などから検討し,各地点だけでの将来予測から海浜地形変化の広域的な将来予測を行う手法についての発展を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データのやり取りについてはメールを中心に行ったものの,今後の将来予測やリスク評価の際により詳細な打ち合わせが必要と考えられたことから,次年度に使用することが適当と考えられたため,旅費に関して次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該成果のデータが比較的大きなサイズになることと海外協力者と解析データの共有が必要となることデータストレージ等の購入に当てることを予定している。また,研究協力者との研究打合せや現地海浜での観測のための旅費,研究の総括にあたっての成果の論文投稿料等にも充てる予定である。
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