研究課題/領域番号 |
15K06248
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
田中 伸治 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (50355913)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 交通工学 / 交通運用 / 交通制御 / 交通流観測 / UAV / ヒアリング調査 |
研究実績の概要 |
本年度は革新的交差点(Alternative Intersections)についての文献調査や既存事例調査を実施し、既往の知見を整理した。 文献調査では、主にアメリカでこれまで蓄積されてきたAlternative Intersectionsに関する研究についてレビューを行い、この交通制御方式が導入されるに至った理論的・歴史的背景を整理した。また、現在アメリカで発行されているAlternative Intersectionsに関するガイドラインを収集し、Alternative Intersectionsを設計する際に考慮されている事項を整理した。 次に、Alternative Intersectionsの導入事例が比較的多いアメリカおよびフランスにおいて、Median U-Turn Intersection, Restricted Crossing U-Turn Intersection, Continuous Flow Intersection, Diverging Diamond Interchangeという4種の代表的なタイプについて、事例調査を行った。調査においては、立地条件、路線条件、交通条件、交通運用等の観点から、情報を収集・整理した。またUAV(ラジコンヘリコプター)を活用することで、交差点の複雑な車両挙動を俯瞰的にビデオ観測することが可能となった。 さらに、Alternative Intersectionsの導入が進んでいるアメリカにおいて、ノースカロライナ州立大学、ジョージア州交通省、ミズーリ大学の研究者および実務者に対してヒアリング調査を行った。これにより、文献調査では把握が難しいAlternative Intersectionsの導入経緯の実務等の情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存事例調査においては、当初予定していたアメリカだけでなく、フランスの事例も収集することができ、導入時期の違いによる両国の相違点を明らかにするなど、当初計画以上の成果をあげることができたと考える。一方で、Alternative Intersectionsの性能評価の面では、当初予定していたビデオ観測映像から交差点性能指標を抽出する作業が十分に進捗しておらず、この点についてはやや遅れていると認められる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、引き続き交差点性能評価のための分析作業を継続し、あわせて設計・運用手法構築のためのAlternative Intersections特有の設計要素の算定手法を提案する。 性能評価においては、空撮映像を元に交差点交通容量および遅れ時間の観点から、交差点性能指標の導出を行い、制御方式の違いによる比較評価を行う。また、安全性に関わる錯綜挙動についても確認を行う。この結果を踏まえて、Alternative Intersectionsの設計・運用手法の構築に必要となる設計要素の合理的な決定手法の検討を行う。また、日本や途上国といった、これまでAlternative Intersectionsが導入されていない国々への導入を図る上で必要となる要素を見極め、より汎用的な設計・運用手法の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は既存事例調査において当初計画以上の事例を収集できた一方で、観測で得たビデオ映像の分析作業に十分な時間をとることができず、この作業のために予定していた謝金の支出がなされなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に実施できなかった作業分を平成28年度に実施することにより、当該使用額は平成28年度に使用する予定である。
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