研究課題/領域番号 |
15K06260
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研究機関 | 岐阜経済大学 |
研究代表者 |
杉原 健一 岐阜経済大学, 経営学部, 教授 (80259267)
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研究分担者 |
沈 振江 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (70294543)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 3次元都市モデル / 防災まちづくり / 自動生成 / 合意形成 / 3Dモデル / 3次元建物モデル / まちづくり支援システム / 整備案の3Dモデル |
研究実績の概要 |
【研究の目的】南海トラフ巨大地震への対策、あるいは、被災市街地の復興まちづくりのために、行政や専門家は整備案の検討を地図上で行う。このとき、整備案を具体的な形にする「3Dモデル」は、現実に出来るであろう「整備案」を分かりやすく周知し、合意形成に役立つ。しかし、3Dモデルを作成するには、3次元CGソフト等を用いて、多大の労力と時間が必要である。そこで、本研究では、「整備案の電子地図」に基づき「安全地区への集団移転などの整備案の3Dモデル」を自動生成する「防災まちづくり支援システム」の研究・開発を目的とする。 【研究の成果】昨年度の研究成果として、整備案の電子地図に基づき整備案の3Dモデルを自動生成するために、「電子地図上の建物境界線の整形による3次元建物モデルの自動生成」というテーマの論文、それから、発電時に温室効果ガスを排出せず、エネルギー自給率を向上させる「太陽光発電に適した3次元建物モデルの自動生成とその活用事例」というテーマの論文を国内外の学会で発表した。同時に、目的として掲げた「自然地形の最適化造成」のために「キー等高線からの3次元地形モデルの自動生成」、及び、防災まちづくり支援システムに必要な「3次元建物モデルの倒壊シミュレーション」のために、主にコンピュータ幾何について基礎研究も進めている。 【研究の意義、重要性】防災まちづくりには、計画となる「整備案の3Dモデル」をあらゆる視点で確認しながら、新しい街並みのイメージを、住民や関係者で共有し、合意形成と意思決定を速やかに図ることが重要である。本研究では、この「整備案の3Dモデル」を労力と時間をかけずに自動生成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況としては、「おおむね順調に進んでいる」と考える。これは、以下に記す「研究目標」に対して、初年度として「現在までの進捗状況」で示すような研究成果をあげているからである。 【研究目標】本研究では、交付を希望する期間内に、「諸元を制約条件とする自然地形の最適化造成」、および、「造成地において区画割りと街路の自動作図」、「造成計画エリアを含む地形での土石流等のシミュレーション」の研究・開発目標を掲げる。 【現在までの進捗状況】目的として掲げた「自然地形の最適化造成」のために、造成前後の3次元地形モデルを効率よく作る必要がある。3次元地形モデルは大縮尺の、場合によっては、複雑に入り組んだ「等高線図」から作成する。このとき、手書きするには大変時間と手間のかかる等高線群を効率よく作成する必要がある。そこで、本研究では、コンピュータ幾何学で注目されている手法「straight skeleton(直線状骨格)」を用いて、「キーとなる等高線から等高線群を自動作図」する研究・開発を進めている。また、防災まちづくり支援システムに必要な「3次元建物モデルの倒壊シミュレーション」や「土石流シミュレーション」のために、主に計算幾何についての基礎研究も進めている。これらの研究では、昨年度、論文の形で成果は出していないが、昨年度の研究成果として、整備案の電子地図に基づき整備案の3Dモデルを自動生成するために、「電子地図上の建物境界線の整形による3次元建物モデルの自動生成」というテーマの論文、また、発電時に温室効果ガスを排出せず、エネルギー自給率を向上させる「太陽光発電に適した3次元建物モデルの自動生成とその活用事例」というテーマで査読付き論文も含めて論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
【今後の研究の推進方策】「土石流シミュレーション」のために、自動生成する3次元地形モデルを用いて、土石流や土砂崩れ(斜面崩壊)のシミュレーションを行い、この数値実験の結果が、実測値や実験データとマッチするか比較し、どのように瓦礫や水をシミュレートする要素のパラメータを設定したらいいか、様々な形態の地形モデルにおいて、数値実験を繰り返しパラメータの検討を行い、より精度の高いシミュレーション・システムの研究開発を行う。 「3次元建物モデルの倒壊シミュレーション」のために、実際の建物に近い構造、即ち、屋根、壁、柱、梁、床板などの各構成要素を持つ建物モデルを建物境界線から自動生成するシステムの研究・開発を進める。これまでの研究で、建物境界線から屋根と外壁を自動的に作成するシステムは完成させた。今後、進める研究として、建物境界線を長方形の集まりに分割・分離、整形して、それに基づいて建物内部の壁や柱、梁、床板などを配置する。そのとき、耐力壁の有無、壁の長さなどによって、どのように地震や風などの水平荷重に抵抗する能力が変化するかを数値実験する。 「キーとなる等高線から等高線群の自動作図」については、計算幾何学で注目されている手法である「straight skeleton手法」を用いれば、キー等高線がトポロジー的に変化、例えば、高さを上げるに従って、1つの等高線が2つの等高線に分離するような場合でも、キー等高線間の等高線群を自動作図できるので、当手法を使ったシステムの研究・開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の金沢大学 沈振江先生の国際学会への出張旅費、参加費を、当初、当科研費での執行予定であったが、沈先生の学内での国際交流事業においての働きもあり、学内の他部署(国際交流部)の予算から得られた。その結果、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金は、本年度請求した助成金と合わせて、主に、学生と共に国際学会に論文を投稿して、採択された場合、国際学会にて研究の成果発表と意見交換、最新の研究動向についての情報収集等のために使用していく計画である。
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